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パウロ

イエスの使徒。1世紀中頃、ユダヤ人であってギリシア語が話せ、ローマ市民権を持っていたことから、ローマ帝国内で活動ができたことから小アジア、ローマでさかんに布教を行った。その布教によってイエスの教えをユダヤ人の民族宗教から、普遍的な世界宗教としてのキリスト教に高める役割を果たした。

 パウロはユダヤ人で、ユダヤ教のパリサイ派に属し、イエスに敵対していたが、あるとき突然「なぜ私を迫害するのか」というイエスの声を聞いて、回心し使徒となったと伝えられる。
 パウロはローマに行き、51年ごろから、さかんに布教した。64年ネロ帝のキリスト教徒迫害のときに、ペテロとともに殉教したとされる。なお、パウロは英語読みではポール Paul。

キリスト教の世界宗教への脱皮

 パウロはギリシア語を話すことが出来、ローマ市民権ももっていたので、小アジアの非ユダヤ人(異邦人)の間に初めてイエスの教えを伝えることができた。パウロによって非ユダヤ人にイエスの教えが広がるに伴い、イエスは単なるユダヤ人の救済者にとどまらず、神そのものであり、すべての人間を愛し、救済するという思想も生まれてくる。そこから、この宗派はユダヤ教と決定的に違う「キリスト教」となり、民族の枠を越えた「世界宗教」へ脱皮したといえる。
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書籍案内

青野太潮
『パウロ 十字架の使徒』
2016 岩波新書