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タキトゥス

1~2世紀、ローマ帝国時代の歴史家。『ゲルマーニア』の他に同時代のネロ帝などのローマの歴史を記している。

ローマ帝政時代の歴史家、法律家、政治家。同時代のローマの歴史を批判的に述べた『同時代史(歴史)』や『年代記(編年史)』、ゲルマン人の社会や政治のあり方を述べて、暗にローマの現状を批判した『ゲルマニア』などが名文で知られる。
 古代ローマの歴史家としてタキトゥスはきわめて有名であるが、その生没年代や詳しい経歴には分からないことがおおい。生まれたのは紀元後55年説が有力であるが、その生地、両親も分かっていない。その広汎な知識からいって騎士階級の出身であったろうと考えられている。コンスル・アグリコラの女婿となってから官職で栄転して元老院議員となり、97年にコンスルにまでなっている。その職を辞してから著作に没頭したようで、98年ごろに『ゲルマーニア』を書き、続いて、『同時代史(歴史)』ではほぼ同時代の皇帝ガルバ、オトー、ドミティアヌスなどの暗愚な皇帝のもとで混乱したローマを、『年代記(編年史)』ではアウグストゥスからネロ帝までの半世紀の歴史(残念ながらその一部は失われている)を書いた。歴史については簡素な文体でありながら、能弁に論じたタキトゥスであったが、自らについては黙して語らなかった。歴史家の一つの矜持かも知れない。
 タキトゥスの主な著作は文庫本で読むことができる。『ゲルマーニア』(泉井久之助訳)と『年代記』(國原吉之助訳)は岩波文庫で読め、またちくま学芸文庫には『ゲルマーニア/アグリコラ』、『同時代史』(いずれも國原吉之助訳)が刊行されている。
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第1章3節 ケ.ローマの生活と文化