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蘇湖/江浙

江蘇省の蘇州、浙江省の湖州を中心とした長江下流一帯を言う。宋から南宋にかけて穀物生産の中心地となり、「蘇湖(江浙)熟すれば天下足る」と言われた。

 「蘇湖(江浙)熟すれば天下足る」とは、長江下流の蘇湖(江浙ともいう)地方が実れば中国全土の食料は足りる」という意味で、宋から南宋時代にかけての長江下流域の生産力と経済力が中国の中心となったことを意味する流行語。蘇湖(そこ)というのは、江蘇省の中心都市蘇州と、浙江省の湖州をいう。江浙(こうせつ)とは、江が江蘇省、浙が浙江省のことでいずれも長江下流の地域。この長江下流の江南の開発は、後漢末から始まり、三国時代、南北朝時代にすすみ、特に宋時代の10世紀末にチャンパー(ベトナム中部)から占城稲が導入され二期作が行われるようになってから生産力が向上した。

穀物生産地域の移動

 しかし、明代の15,6世紀以降は、この地域では米作に代わって絹織物業と綿織物業が盛んになり、農民は現金収入を得るために水田を桑畑(絹織物・生糸の原料となる繭をつくる蚕の餌として必要だった)と綿花畑に転換させていったため、この地域の穀物生産は少なくなり、穀物生産の中心は長江中流の湖広(ここう)地方に移った。その結果「湖広熟すれば天下足る」と言われるようになる。
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