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ドイツ農民戦争

1524年にドイツでルターの宗教改革を支持して起こった農民反乱。

 1524年夏、南ドイツから始まり、ほぼ全ドイツに波及した大農民反乱。指導者のトマス=ミュンツァーは、南ザクセンの教会説教師で、ルター宗教改革を支持し、自らも教会の腐敗を批判していた。教会批判にとどまらず、封建領主による収奪が強まって苦しんでいる農民の救済をめざし、農奴制の廃止、封建地代の軽減、裁判の公正など、「農民の12箇条」をかかげ、領主や教会など封建諸侯と戦った。おりから封建諸侯は、カール5世のフランス王フランソワ1世との戦争でイタリアに出征していたので、農民軍は至る所で勝利したが、翌年諸侯軍がドイツに戻り反撃に転じることによって鎮圧された。諸侯による懲罰は過酷をきわめ、約十万の農民が命を亡くしたという。

農民の「12カ条要求」

 ドイツ農民戦争の最中、1525年に作成された農民側の綱領である「農民の12ヶ条要求」の中で、農奴制の廃止、封建地代の軽減、裁判の公正などを要求した。12ヶ条の要点は次のようなものである。
(1)未来においてわれわれが力と権威をもち、したがってあらゆる村が牧師を選任し任命しうること、そして牧師が不つごうな行為をしたばあいにはそれを罷免する権利をわれわれが持つべきこと。選ばれた牧師は福音書に教義や命令を付け加えないこと。
(2)教会の十分の一税は、われわれの選んだ牧師の生活費に充て、残りはその地の貧民に与えること。
(3)キリストは自らの血を流して身分の高いもの、低いものの例外なく解放した給うた。われわれが自由であるべきこと、自由であろうと望むことは聖書に合致している。キリスト教徒としてわれわれを農奴の地位から救い出してくれることはとうぜんである。
(4)貧乏人には鹿や野鳥や魚を捕ることが許されないという習慣をなくし、キリスト者として同じ権利を与えること。
(5)森を貴族が占有していることをやめ、村に返還し、村民が管理して必要な薪を得られるようにすること。
(6)日々に増加する過度の賦役にかんして、親切な配慮が払われることを要求する。
(7)領主は農民との協定に照らして正当なものだけを要求し、賦役や貢租を無償で農民から強奪してはならないこと。
(8)不当な地代によってわれわれが零落しないように、領主は適正な人を派遣して(地主の)占有地を点検すること。
(9)新しい法律が絶えず作られわれわれは裁判によらないで裁かれている。旧来の成文法で裁判され、公正な判決であること。
(10)かつて村に属していた牧場や耕地(入会地)を個人が占有しているのを、とりもどせること。
(11)相続税を完全に廃止すること。
(12)以上の箇条が聖書の言葉と一致しないものであれば、その箇条は喜んで撤回する。
<エンゲルス『ドイツ農民戦争』1850 岩波文庫 付録p.205-215>
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ノートの参照
8章3節 ア.宗教改革の始まり
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エンゲルス/大内力訳
『ドイツ農民戦争』
岩波文庫