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ニューコメン

1708年、石炭採掘に必要な廃水のための蒸気機関を考案。60年代の産業革命の前提となった。

 イギリスでは16世紀から家庭用暖房燃料として石炭の需要が急増していたが、炭坑での排水を行うポンプの改良が待たれていた。18世紀初めまでは、馬力による揚水機が使われていたが、それは坑内に発生する地下水をくみ上げるのに莫大な労力と費用がかかり、採算が合わなかったため、馬力に替わる新たな動力源の必要が望まれていた。ニューコメンは1708年、蒸気によって真空をつくりだし、地下水をくみ上げる揚水機を発明し、その解決にあたった。しかしこの段階では、まだ熱量の損失が大きく、汎用的な蒸気機関としては実用にならなかった。蒸気機関の改良は1760年代のワットを待たなければならなかった。ワットの改良した蒸気機関が、ようやく産業革命の動力源として利用されることとなる。
(引用)ダートマスの鉄器商トマス・ニューコメン(1663~1729年)が、一七〇八年全く異った型の自動式気圧機関を発明したのは、まさにこの損失を避けるためであった。地上高くガッチリと建てられた石造りの柱の上にその枢軸をおいた大きな木製の横桿は、円弧を描いて上下に自由に振揺しうるようになっている。その横桿は一端においてピストンに連結しており、ピストンは、蒸気がまずシリンダーの中に注入され、ついで凝縮されるにともなって上下に運動する。この運動は横桿に、したがってまた横桿の他の端に結びつけられたポンプ桿に伝わり、そのポンプ桿の運動によって水は竪坑中のパイプを昇って汲み出される。<アシュトン/中川敬一郎訳『産業革命』 岩波文庫 p.48>
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ノートの参照
10章1節 イ.機械の発明と交通機関の改良