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国民国家

主権国家において、国民主権が確立し、憲法と議会政治が実現した国家。

ほぼ近代国家は国民国家に該当する。英語では、nation state という。16~17世紀の西ヨーロッパに成立した「主権国家」は、主権が国王に集中し、絶対王政という政治体制をとっており、「国民」の実態とまとまりはまだなかった。ところが、18世紀の主権国家間の抗争(七年戦争など)を経て絶対王政が動揺し、アメリカ独立革命とフランス革命という「市民革命」が起こって国家主権が国民が持つという意識が生まれた。そして一定の国境の中に居住する人々を国民としてとらえ、「主権、国民、国境」という「国家の三要素」を持つ国家が次第に形成されていった。ウィーン体制の時期は一時絶対王政が復活したが、1848年革命の前後にフランス・イギリスは、憲法と議会を持ち、国民が主権者である国家を形成させた(フランスは第2帝政となるがそれも国民が選出する皇帝であった)。また民族の分裂と他民族支配を乗り越えて国民国家を建設しようとするナショナリズム(国民主義)の運動が起こり、ドイツ、イタリアはともに19世紀後半に統一を成し遂げ、国民国家を形成させる。
 西ヨーロッパでは19世紀までに国民国家が形成されたが、東ヨーロッパにおいては20世紀前半の第1次世界大戦後がその時期に当たり、アジアでは日本などは19世紀に曲がりなりにも国民国家を形成させたが、多くは植民地か半植民地状態にあったため、20世紀後半の第2次世界大戦後に国民国家となっていく。
 なお、最近の議論で、「国家」や「国民」とは、人工的に作られた「想像の共同体」にすぎない、という見解が注目を集めている(ベネディクト=アンダーソン『想像の共同体』1983)。「国民国家」概念も含め、まだ論議の途上にあるといえる。
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ノートの参照
第12章1節 イ.ウィーン体制の動揺