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新自由主義

1980年代、アメリカ、イギリスの経済政策に影響を与えた市場原理主義経済学説。

 現代の経済学の一学派、ミルトン=フリードマンらに代表されるシカゴ学派が提唱している経済思想。

ケインズ派の経済政策

 戦前から1960年代まで主流だったケインズ派の経済理論は、社会の有効需要を増大させるための完全雇用を目指し、公共事業など財政支出を増大させ、また社会福祉政策を通じて富の再分配をはかり社会の公正を図るものであった。そのために、主要産業の国有化や規制の強化によって企業の自由な競争を制限した。このケインズ学派の経済理論は、19世紀的なアダム=スミス以来の自由放任主義の資本主義が世界恐慌をもたらし、帝国主義戦争に至ったのに対して、有効な反対理論となり、F=ローズヴェルトのニューディールや戦後のケネディ政権、社会保障を充実させた戦後イギリスのアトリー労働党政権の政策の理論的裏付けとなった。

ケインズ理論に対する批判

 ところが第二次世界大戦後、イギリス経済は停滞して「イギリス病」と言われるようになり、アメリカ経済もまたスタグフレーション(インフレと不景気が同時に起こること)に見舞われ、転換を迫られるようになった。そのようなときに登場したシカゴ学派の経済理論は、ケインズ理論による財政政策を「大きな政府」として批判し、国営企業の民営化、公共事業の縮小、規制緩和などによってより自由な経済活動を活発にさせ、景気の変動には財政出動ではなく、通貨供給量(マネーサプライ)を通じてコントロールすることを主張した。このような経済理論をマネタリストまたは、新自由主義と言われる。
 新自由主義は政治的には社会主義に対する反発を強めた主張と結びつくので、新保守主義(ネオコン)とも言われることもある。代表的な経済学者にはフリードマン(76年ノーベル経済学賞。2006年11月16日、94歳で死去した)やハイエクがあげられる。

新自由主義の採用

 この理論は、1973年にチリアジェンデ社会主義政権を倒したピノチェト政権によってシカゴ学派の若い学者たち(シカゴ・ボーイズ)が招かれて経済再建に成功したことから注目され、80年代のイギリスのサッチャー政権、アメリカのレーガン政権、日本の中曽根内閣などの経済政策に大きな影響を与え、いずれも「小さな政府」を掲げて公営企業の分割民営化、規制緩和などが行われた。

新自由主義の問題点

 新自由主義の経済理論は、社会主義経済が破綻したとされる現代において自由な競争を最大限認める市場万能主義に関心が高まったのであろう。最近の日本の小泉内閣の郵政改革などもその線上にあり、「民間でできることは民間で」や「小さな政府」という議論は呪文のように繰り返されている。しかしその市場万能主義は、「勝ち組と負け組」の格差を拡大し、規制緩和は何でもありの利益追求肯定はライブドア事件を生み出した。また依然として談合のような政治と金のスキャンダルが跡を絶たない。新自由主義経済論とグローバリゼーションが現代の病根であるのかもしれない。
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ノートの参照
第17章1節 イ.先進経済地域の統合化