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クフ王

古代エジプトの古王国の国王(ファラオ)。前26世紀中頃、ギザに最大のピラミッドを建造した。

 エジプト古王国の第4王朝時代のファラオ。在位は前2553年頃から、前2530年ごろまでとされている。  古王国のファラオはナイル川中流のギザ周辺に、巨大なピラミッド群を造営したが、クフ王のそれは最大で底辺の一辺が230メートル、高さが146.5メートルある。

参考 ヘロドトスの伝えるクフ王

 あの巨大なピラミッドの主としてあまりにも有名がクフ王だが、その実績につてはほとんどわかっていない。唯一、ギリシアのヘロドトスの『歴史』のなかで、ケオプス王という名で出てくるのがクフ王のことと言われており、巻の二に次のようなことが伝えられているだけである。
(引用)エジプトではランプシニトス王の時代までは、申し分のない政治が行われ、エジプトの国は大いに栄えたが、彼の後にエジプト王となったケオプスは、国民を世にも悲惨な状態に陥れた、と祭司たちは語っていた。この王は先ずすべての神殿を閉鎖し、国民が生贄を捧げることを禁じ、つづいてはエジプト全国民を強制的に自分のために働かせたという。アラビアの山中にある石切場から石をナイルまで運搬する役を負わされた者もあれば、船で河を越え対岸に運ばれた石を受けとり、いわゆるリビア山脈まで曳いてゆく仕事を命じられた者たちもあった。常に十万人もの人間が、三ヶ月交替で労役に服したのである。
 石材を曳くための道路を建設するのに、国民の苦役は実に10年にわたって続いたという。この道路というのが、全長25スタディオン、幅10オルギュイア、高さはその最も高い地点で8オルギュイアあり、さまざまの動物の模様(訳注象形文字か)を彫り込んだ磨いた石で構築したもので、私の思うには、これはプラミッドにもあまり劣らぬ大変な仕事であったに相違ない。……(中略)
 ピラミッド自体の建造には20年を要したという。ピラミッドは(基底が)方形を成し、各辺の長さは8プレトロン、高さもそれと同じで、磨いた石をピッチリと継ぎ合せて造ってあり、どの石も30フィート以下のものはない。……<ヘロドトス/松平千秋訳『歴史』上 岩波文庫>
 この他、ヘロドトスの伝えるクフ王は「悪行の限りを知らず、果てはお金に窮しておのれの娘を娼家に出し、なにがしかの金子(中略)の調達を命ずることまで敢えてしたという」ありさまであったという。ともかくピラミッドの建造が、石切場からの道路工事も含めて、民衆にとってたいへんな負担になっていたと素直に読むことできる。