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アゴラ

古代ギリシアのポリスの中心部にある公共広場。市民が議論し合う場であり、商品取引を行う市場、さまざまが行事が行われる。アテネのアゴラもアクロポリスの丘のふもとにあり、周辺に列柱館やゼウス神殿など重要施設が並んでいる。

 古代ギリシアのポリスにおいて、その中心部に設けられた公共広場のことで、ポリス市民の集会や、裁判、取引の場となった。アテネではアクロポリスの北方につくられ、その領土であるアッティカ地方の各地に延びる道路も、そこを基点としていた。民会も当初はこのアゴラで開かれていた(後に専用のプニュクスの丘に移った)。
 またアゴラの周辺には、ストアといわれる列柱が立ち並び、人々が議論を交わす場となっていた。後のストア派の名称はこれに由来する。現在まで発掘が続き、アゴラ周辺の評議員会場跡や民衆裁判所跡、獄舎跡、市民に時間を知らせた水時計跡などが発見されている。

参考 アゴラを歩いてみよう

 この前5世紀後半のペリクレス時代のアテネを訪ねてみよう、という『古代アテネ旅行ガイド』の一節から、アゴラについての紹介を見てみよう。
(引用)アテネを訪ねたら、なにはさておきアゴラに行かなくてはいけない。多くの道がアゴラに通じていたり、少なくともそこを通ったりしているし、アゴラは人々の交流の場であり、告知板の役割を果たすと当時に、市のショッピングセンターでもある。時間をかけて全体を見て回り、あちこち見物しながらぶらついてみよう。そしてアテネ人が当然と思っているらしい建造物や歴史について学ぼう。  一見するとアゴラは混沌として見える。アテネ人がひっきりなしに行き来して、商売をやったり、集まって政治や哲学や最新の醜聞について論じあったりしている。社(やしろ)がほとんどでたらめにあちこちに建てられ、その周囲には大きな壁のない列柱館が並んで、訪れる者を冬の風や夏の陽射しから守っている。人はここで、小高いアクロポリスを望んだり、行列や運動競技や、アゴラのオープンスペースで演じられる劇を見物したりする。 <F.マティザック/安原和見訳『古代アテネ旅行ガイド』2019 ちくま学芸文庫 p.15-187>