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史記

前漢の司馬遷が完成させた歴史書。

 前二世紀末、前漢の司馬遷が友人の李陵をかばったために武帝の怒りに触れ、宮刑に処せられるという悲劇にあったにもかかわらず、その苦境を乗り切って完成させた歴史書。一三〇巻。三皇五帝の時代から、武帝までの歴史を記す。帝王の年代記である「本紀」と、主要人物の伝記である「列伝」、年表の「」、制度をまとめた「」の四つの部門から成る。このような本紀と列伝から成る歴史書のスタイルを「紀伝体」といい、次の班固の『漢書』で完成され、以後、各王朝の歴史書である正史の手本とされる。
本紀 本紀は黄帝を初めとする五帝から、夏、殷、周の三代に続き、秦を経て漢代の当時に至るまでの帝王の記録である。主権者の交替を年代順に記しているから、この部分は編年体の歴史であり、『春秋』の体裁に則っている。
 歴史事実をなるべく簡略化し、一目で瞭然たらしめるためのもので、これは司馬遷の創意に基づく。
 書は礼記以下、平準書に至る八書があり、政治に関する特殊な題目ごとに、記事をひと纏にしたもの。
世家 世家は割拠政権たる封建諸侯の記録であり、帝王によって領地を与えられ、領内の統治を委任された世襲の大名家の盛衰興亡を記す。
列伝 列伝は主として庶民の記録である。