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説文解字

後漢時代に編纂された中国最古の漢字字書。許慎が編纂し、121年に完成した。

 後漢の許愼が編纂した、中国最古の字書。小篆(始皇帝が制定した公式漢字)の字体とその原義について解釈し、その子の許冲(きょちゅう)によって完成され、121年、後漢の安帝に献上された。
 『説文解字』では、漢字の成り立ちと字義には次の六種類の法則があると分類している。<西嶋定生『秦漢帝国』講談社学術文庫 p.483 による>
  1. 象形 事物の形を写して文字を作成する。例 日・月・山・川
  2. 指事 線や点などで事物の性質を表す。例 一・二・上・下
  3. 会意 二個以上の文字を組み合わせて別の意味を著す。 例 明・信
  4. 形声 二個以上の文字を合わせて一字とし、その一半で音を、一半で意味を示す。例 江・河・枝・枯
  5. 転注 同一部首で他の構成部分を変化させて意味の似た文字を作る。例 考・老(ともに高年の意)
  6. 仮借 ある事物を示す音があって文字がない場合、同音の文字を使用してその事物を表す。例 向(もとは窓の意味であるが「むかう」の意味に使用する)・考(もと高年の意味だが「かんがえる」の意に使用する)
以上を六書とよび、漢字はこのいずれかで作られているとして、当時知られていた漢字総計10,516字について分類し、それぞれの文字の字義・字音を解説している。
 この『説文解字』が著作され、現在まで伝えられたため、殷代の甲骨文字や、殷周時代の青銅器銘文を解読する手掛かりがえられたのである。
 清の考証学者段玉裁(1723~1815)は、『説文解字注』を著し、精密な注をつけている。
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