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アミール

イスラーム帝国での軍隊の指揮官から地域の独立政権の長を意味するようになる。

 本来はアラビア語で軍隊の指揮官を意味する。イスラーム帝国の征服地の統治にあたり、地方の行政・財政をも司り、「総督」の権限を持っていたが、次第に独立した権限を持つ地方政権となった。アッバース朝では、イラン人やトルコ人でアミールに任命されるものも出てきて、その中の有力なものは地方王朝を樹立した。9世紀にイランに起こったターヒル朝サッファール朝がそれである。946年、バグダードに入ったブワイフ朝ではアッバース朝のカリフから大アミールの称号が与えられた。次のセルジューク朝ではアミールは軍事指揮官を意味するようになるが、広く有力者の子弟なども含まれるようになる。1370年、中央アジアの覇権を握ったティムールは、自らの地位をアミールと称した。現在でもウズベキスタンではアミール=ティムールと言われている。

現代のアミール

 アミールはその後、首長を意味するようになる。現代のアラブ首長国連邦の「首長国」は emirates の訳であるが、それは首長 emir の治める国の連合の意味で、emir はアミールの英語表記である。他にも、中東諸国のクウェート、カタールなどの元首も emir と称しており、それは「国王」ではなく、本来「総督」を意味するアミールである。バーレーンもはじめ首長国であったが、2002年に王政に変更しバーレーン王国となった。サウジアラビアは1932年の建国時から王国を称している。
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