第5章 イスラーム世界の形成と発展
1 イスラーム帝国の成立
Text p.110
ア.イスラーム教の誕生
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A アラブ人 の成長 a アラビア半島 の砂漠で活動したセム系アラビア語を使う民族。
・ラクダ・羊などを飼育する遊牧生活と共に商業・交易活動を行う。▲b ベドゥイン ともいう。
・6世紀後半 c ササン朝ペルシア とd ビザンツ帝国 の抗争のため、
「絹の道」がとだえ、紅海貿易も衰退 → アラビア半島西部のルートか繁栄
・6世紀後半 c ササン朝ペルシア とd ビザンツ帝国 の抗争のため、
「絹の道」がとだえ、紅海貿易も衰退 → アラビア半島西部のルートか繁栄
Text p.110
→ e メッカ などのアラブ人の商業都市が中継地として栄える。
▲イスラーム成立以前の時代をf ジャーヒリーヤ という。部族神を崇拝する多神教の時代。
▲イスラーム成立以前の時代をf ジャーヒリーヤ という。部族神を崇拝する多神教の時代。
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B ムハンマド の登場 メッカの クライシュ族 の商人 a マホメット ともいう。
・610年 唯一神b アッラー の啓示を受け 預言者 として自覚しc イスラーム教 を創始。
アッラーへの服従、厳格なd 一神教 、e 偶像崇拝の否定 をとなえる。
・急速に信者を増やす。
理由:f 有力氏族の富の独占を批判。血統や貧富の差を否定して、万民の平等を説いた。
→ 従来の部族制と多神教を守ろうとする大商人たちによる迫害を受ける。
アッラーへの服従、厳格なd 一神教 、e 偶像崇拝の否定 をとなえる。
・急速に信者を増やす。
理由:f 有力氏族の富の独占を批判。血統や貧富の差を否定して、万民の平等を説いた。
→ 従来の部族制と多神教を守ろうとする大商人たちによる迫害を受ける。
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C イスラーム教 の成立
・a 622 年、ムハンマドは迫害を逃れb メディナ に移住し、信者の共同体を建設=c ヒジュラ (聖遷)。
→ イスラーム教徒(d ムスリム )は、ムハンマドを信仰指導者かつ政治指導者と仰ぐ、
共同体(e ウンマ )を結成。
→ 西暦622年7月16日を イスラーム暦 の紀元元年1月1日とする。
→ イスラーム教徒(d ムスリム )は、ムハンマドを信仰指導者かつ政治指導者と仰ぐ、
共同体(e ウンマ )を結成。
→ 西暦622年7月16日を イスラーム暦 の紀元元年1月1日とする。
・補足: イスラームの暦
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D アラビア半島 の統一
・630年 ムハンマド、ムスリムを率いa メッカ 征服。
→ 多神教の神殿であったb 力ーバ を破壊しイスラームの聖殿に造り直す。
→ アラブの諸部族、その支配下に入り、アラビア半島の統一が実現。
・630年 ムハンマド、ムスリムを率いa メッカ 征服。
→ 多神教の神殿であったb 力ーバ を破壊しイスラームの聖殿に造り直す。
→ アラブの諸部族、その支配下に入り、アラビア半島の統一が実現。
★イスラーム教の特徴
1.厳格なa 一神教 であること。アッラーへの絶対服従(イスラームの意味)が求められる。
2.b 偶像崇拝の否定 。アッラーやムハンマドの像を崇拝することはない。
3.c 政教一致 であること。カリフが宗教・政治の両面で最高指導者となる。
4.d 『コーラン』 ※に基づき、六信と五行を信者の義務※※とすること。
※ムハンマドに下されたアッラーの啓示の書。アラビア語で書かれる。
→ 旧約聖書・新約聖書も神の啓示の書として認める。
→ ユダヤ教徒・キリスト教徒はともにe 「啓典の民」 として、その信仰が認められた。
※※信者の義務 六信 :f アッラー・天使・啓示(コーラン)・預言者・来世・宿命
五行 :g 信迎告白・礼拝・断食・喜捨・巡礼
2.b 偶像崇拝の否定 。アッラーやムハンマドの像を崇拝することはない。
3.c 政教一致 であること。カリフが宗教・政治の両面で最高指導者となる。
4.d 『コーラン』 ※に基づき、六信と五行を信者の義務※※とすること。
※ムハンマドに下されたアッラーの啓示の書。アラビア語で書かれる。
→ 旧約聖書・新約聖書も神の啓示の書として認める。
→ ユダヤ教徒・キリスト教徒はともにe 「啓典の民」 として、その信仰が認められた。
※※信者の義務 六信 :f アッラー・天使・啓示(コーラン)・預言者・来世・宿命
五行 :g 信迎告白・礼拝・断食・喜捨・巡礼
・補足: 礼拝の作法
アラビア半島とイスラーム教関連の重要地名
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イスラーム帝国の都
1. メッカ
2. メディナ
3. ダマスクス
4. バグダード
その他の重要地名
a. バスラ
b. クーファ
c. カーディシーヤの戦い
d. ニハーヴァンドの戦い
e. カルバラーの戦い
f. クテシフォン
g. フスタート
h. コンスタンティノープル
i. イェルサレム
イ.イスラーム世界の成立
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A 正統力リフ時代
Text p.111
・632年 ムハンマド没。信者の共同体の中から後継者(a 力リフ )を選出。
→ 4代のカリフの指導のもと、大規模なb 聖戦(ジハード) を行う。
→ 征服地に、軍営都市( ミスル )を建設。 クーファ 、 バスラ 、 フスタート など。
・初代 c アブー=バクル ムハンマドの妻の父。
・2代 d ウマル 637年、 カーディシーヤの戦い での勝利に続き、
642年 e ニハーヴァンドの戦い でf ササン朝ペルシア を破る。
→ イラン人のイスラーム化が始まる。
→ さらにg ビザンツ帝国 から シリア ・ エジプト を奪い西アジアの穀倉地帯を支配。
・3代 ウスマーン ウマイヤ家出身。(シーア派はカリフと認めない)
→ 征服地の分配、力リフの選出などをめぐり、イスラーム共同体の内紛起こる。
・4代 h アリー 、ムハンマドの従弟で、娘ファーティマの夫。
→ シリア総督のウマイヤ家のi ムアーウィヤ と争う。
661年 暗殺される( ハワーリジュ派 による)。
→ シーア派は初代 イマーム とする。
→ 4代のカリフの指導のもと、大規模なb 聖戦(ジハード) を行う。
→ 征服地に、軍営都市( ミスル )を建設。 クーファ 、 バスラ 、 フスタート など。
・初代 c アブー=バクル ムハンマドの妻の父。
・2代 d ウマル 637年、 カーディシーヤの戦い での勝利に続き、
642年 e ニハーヴァンドの戦い でf ササン朝ペルシア を破る。
→ イラン人のイスラーム化が始まる。
→ さらにg ビザンツ帝国 から シリア ・ エジプト を奪い西アジアの穀倉地帯を支配。
・3代 ウスマーン ウマイヤ家出身。(シーア派はカリフと認めない)
→ 征服地の分配、力リフの選出などをめぐり、イスラーム共同体の内紛起こる。
・4代 h アリー 、ムハンマドの従弟で、娘ファーティマの夫。
→ シリア総督のウマイヤ家のi ムアーウィヤ と争う。
661年 暗殺される( ハワーリジュ派 による)。
→ シーア派は初代 イマーム とする。
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B ウマイヤ朝
・ 661年 シリア総督a ムアーウィヤ のカリフ位が承認される。
b ダマスクス を都とする。
680年 カルバラーの戦い ウマイヤ朝軍、シーア派イマームのフサインを殺害。
・第5代カリフ アブド=アルマリク (在位685~705) 統一政策と外征を進める。
695年 c アラビア語 を公用語とする。
同 年 統一貨幣( ディーナール金貨 、 ディルハム銀貨 )を鋳造。
・征服地の先住民にd 地租(ハラージュ) とe 人頭税(ジズヤ) を課す。
→ 征服地の異民族の信仰は認めたが、改宗しても課税された。
・ 貨幣経済 の発展 → 軍人・官僚への貨幣支給(f アター制 )が行われる。
・領土の拡大
704年 ソグディアナ に進出。 マー=ワラー=アンナフル のイスラーム化始まる。
西方では チュニス を制圧、ベルベル人の北アフリカを征服。
→ g ビザンツ帝国 との抗争 コンスタンティノープルを攻撃、 シチリア島 にも進出。
711年 タンジール からジブラルタルを越えてh イベリア半島 に進出、
→ i 西ゴート王国 を滅ぼす。
同 年 インダス下流に進出。シンド地方を支配。→イスラームのインド浸透始まる。
・732年 j フランク王国 に侵入。j トゥール・ポワティエ間の戦い で敗れる。
★アラブ人の征服地支配:
征服者であるアラブ人が絶対的優位に立っち、k アラブ帝国 となる。
b ダマスクス を都とする。
680年 カルバラーの戦い ウマイヤ朝軍、シーア派イマームのフサインを殺害。
・第5代カリフ アブド=アルマリク (在位685~705) 統一政策と外征を進める。
695年 c アラビア語 を公用語とする。
同 年 統一貨幣( ディーナール金貨 、 ディルハム銀貨 )を鋳造。
・征服地の先住民にd 地租(ハラージュ) とe 人頭税(ジズヤ) を課す。
→ 征服地の異民族の信仰は認めたが、改宗しても課税された。
・ 貨幣経済 の発展 → 軍人・官僚への貨幣支給(f アター制 )が行われる。
・領土の拡大
704年 ソグディアナ に進出。 マー=ワラー=アンナフル のイスラーム化始まる。
西方では チュニス を制圧、ベルベル人の北アフリカを征服。
→ g ビザンツ帝国 との抗争 コンスタンティノープルを攻撃、 シチリア島 にも進出。
711年 タンジール からジブラルタルを越えてh イベリア半島 に進出、
→ i 西ゴート王国 を滅ぼす。
同 年 インダス下流に進出。シンド地方を支配。→イスラームのインド浸透始まる。
・732年 j フランク王国 に侵入。j トゥール・ポワティエ間の戦い で敗れる。
★アラブ人の征服地支配:
征服者であるアラブ人が絶対的優位に立っち、k アラブ帝国 となる。
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C イスラム教の分裂
・ウマイヤ朝の成立に伴い、イスラーム教団が分裂。
a スンナ派 :ウマイヤ朝のカリフを認めた多数派。
主張:b ムハンマドの言行(スンナ)を生活の規範とし、共同体の統一を重視する。
c シーア派 :ウマイヤ朝のカリフを認めず独自の指導者( イマーム )をたてた少数派。
主張:d 4代目カリフのアリーの子孫のみを正当な指導者としウマイヤ朝のカリフを否定。
= “アリーを支持する”という意味の“シーア・アリー”からきた。イスラーム教徒の約1割。
a スンナ派 :ウマイヤ朝のカリフを認めた多数派。
主張:b ムハンマドの言行(スンナ)を生活の規範とし、共同体の統一を重視する。
c シーア派 :ウマイヤ朝のカリフを認めず独自の指導者( イマーム )をたてた少数派。
主張:d 4代目カリフのアリーの子孫のみを正当な指導者としウマイヤ朝のカリフを否定。
= “アリーを支持する”という意味の“シーア・アリー”からきた。イスラーム教徒の約1割。
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ウ.イスラーム帝国
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・ウマイヤ朝に対する不満が強まる。
イスラームに改宗した非アラブ人(a マワーリー )の不満が強まり、
またスンナ派とシーア派の対立も始まる。
→ ムハンマドの叔父の子孫 b アッバース家 の勢力が強まる。
イランの東北部 ホラーサーン 地方を拠点にウマイヤ朝に抵抗続ける。
またスンナ派とシーア派の対立も始まる。
→ ムハンマドの叔父の子孫 b アッバース家 の勢力が強まる。
イランの東北部 ホラーサーン 地方を拠点にウマイヤ朝に抵抗続ける。
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Text p.113
A アッバース朝
・ 750年 アブー=アルアッバース 、力リフを称し独立。
シーア派、アラブ以外のイスラーム教徒らが協力し、革命を成功させる。
751年 中央アジアに進出し、唐と戦う(a タラス河畔の戦い =前出)
・第2代b マンスール 首都c バグダード を建設。(現イラク)円形の都市計画。
円城から四方に道路が延び、運河などの交通網が発達していた。
・d イラン人 などの改宗者を要職に登用、官僚制度を整える。
→ 権力を握ってからはスンナ派を保護し、シーア派は弾圧。
シーア派、アラブ以外のイスラーム教徒らが協力し、革命を成功させる。
751年 中央アジアに進出し、唐と戦う(a タラス河畔の戦い =前出)
・第2代b マンスール 首都c バグダード を建設。(現イラク)円形の都市計画。
バグダード
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円城から四方に道路が延び、運河などの交通網が発達していた。
・d イラン人 などの改宗者を要職に登用、官僚制度を整える。
→ 権力を握ってからはスンナ派を保護し、シーア派は弾圧。
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B イスラーム帝国 の成立
・アッバース朝の税制改革
イスラーム教徒であれば、アラブ人以外でもa 人頭税 を免除。
征服地で土地を所有するアラブ人にからはb 地租 を課す。
イスラーム教徒であれば、アラブ人以外でもa 人頭税 を免除。
征服地で土地を所有するアラブ人にからはb 地租 を課す。
Text p.114
意義:c イスラーム教徒であれば、アラブ・非アラブの区別を無くし、平等にした。
・補足:イスラーム国家の税制の変化
・d イスラーム法 :民族差別を無くした統一的な支配。→アラブ人の特権を無くす。
→ B イスラーム帝国 となる。
アッバース朝の意義:e 「アラブ人の国家」から「イスラーム教徒の国家」に変質した。
→ B イスラーム帝国 となる。
アッバース朝の意義:e 「アラブ人の国家」から「イスラーム教徒の国家」に変質した。
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エ.イスラーム帝国の分裂
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A 後ウマイヤ朝 の成立
・756年 ウマイヤ朝の一族、a イベリア半島 に逃れ建国。アッバース朝に対抗
首都b コルドバ 。 → バグダードの文化を吸収、高度なイスラーム文明を生みだす。
10世紀、カリフを称す。 → 1031年滅亡 小国に分裂、キリスト教勢力の攻勢強まる。
首都b コルドバ 。 → バグダードの文化を吸収、高度なイスラーム文明を生みだす。
10世紀、カリフを称す。 → 1031年滅亡 小国に分裂、キリスト教勢力の攻勢強まる。
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B アッバース朝 の全盛期8世紀末~9世紀
・5代カリフ a ハールーン=アッラシード (在位786~809年) 全盛期となる。
→ 学問、芸術を保護し、イスラーム文化の黄金時代と言われる。
ギリシア語の文献の収集と翻訳が行われる。(第7代カリフのマームーンも継承)
→ 学問、芸術を保護し、イスラーム文化の黄金時代と言われる。
ギリシア語の文献の収集と翻訳が行われる。(第7代カリフのマームーンも継承)
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C イスラーム帝国 の分裂
・a ハールーン=アッラシード の死後、カリフの権威が次第に弱まる。
→ 軍隊の地方司令官が、独立して▲b アミール を称し、地方政権を各地につくる。
・8~9世紀 地方政権の自立
北アフリカ ▲モロッコにイドリース朝(789-926 最初のシーア派国家)。
エジプトにc トゥールーン朝 (868~905)アッバース朝のトルコ系軍人が自立。
イラン及び中央アジア
▲イラン東部にターヒル朝(821-873)、次いでサッファール朝(867-963)が成立。
d サーマーン朝 (875~999)イラン系。西トルキスタンから東部イランに建国。都ブハラ。
= トルコ人を軍人奴隷(マムルークの始まり)とする。トルコ人のイスラーム化すすむ。
・アッバース朝の弱体化
869~883年 ▲ザンジュの乱 :現在のイラク南部のバスラを中心とした黒人奴隷が反乱を起こす。
→ 軍隊の地方司令官が、独立して▲b アミール を称し、地方政権を各地につくる。
・8~9世紀 地方政権の自立
北アフリカ ▲モロッコにイドリース朝(789-926 最初のシーア派国家)。
エジプトにc トゥールーン朝 (868~905)アッバース朝のトルコ系軍人が自立。
イラン及び中央アジア
▲イラン東部にターヒル朝(821-873)、次いでサッファール朝(867-963)が成立。
d サーマーン朝 (875~999)イラン系。西トルキスタンから東部イランに建国。都ブハラ。
= トルコ人を軍人奴隷(マムルークの始まり)とする。トルコ人のイスラーム化すすむ。
・アッバース朝の弱体化
869~883年 ▲ザンジュの乱 :現在のイラク南部のバスラを中心とした黒人奴隷が反乱を起こす。
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D ファーティマ朝 の成立
・909年 北アフリカのチュニジアに成立した王朝。
アリーとムハンマドの娘のファーディマの子孫であると称し、過激シーア派の
▲a イスマイール派 を信奉。 → カリフを称し、アッバース朝のカリフの権威を否定。
・969年 エジプトを征服し、首都b カイロ を建設。
アリーとムハンマドの娘のファーディマの子孫であると称し、過激シーア派の
▲a イスマイール派 を信奉。 → カリフを称し、アッバース朝のカリフの権威を否定。
・969年 エジプトを征服し、首都b カイロ を建設。
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E 3カリフ時代
・10世紀 後ウマイヤ朝のa アブド=アッラフマーン3世 、力リフを称す。
→ b バグダード のアッバース朝、c コルドバ の後ウマイヤ朝、d カイロ の
ファーティマ朝が分立、3人のカリフが並び立つ。
→ b バグダード のアッバース朝、c コルドバ の後ウマイヤ朝、d カイロ の
ファーティマ朝が分立、3人のカリフが並び立つ。
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F ブワイフ朝 の成立
・ 946年 、イラン人の軍事政権がa バグダード に入城。
力リフから 大アミール に任命され、イスラーム法を施行する権限を与えられる。
→ アッバース朝のカリフは名目上の存在となる。
・ 946年 、イラン人の軍事政権がa バグダード に入城。
力リフから 大アミール に任命され、イスラーム法を施行する権限を与えられる。
→ アッバース朝のカリフは名目上の存在となる。