マラケシュ
モロッコの都市でムラービト朝、ムワッヒド朝の都。ベルベル人が建設した、マグリブ地方の歴史的な重要都市である。
マラケシュ GoogleMap
ムラービト朝はイベリア半島に進出し、キリスト教徒のレコンキスタと戦いを続けたが、次第に都市化して遊牧民としての阡等星を失い、12世紀になるとマグリブ地方のアトラス山脈地方の定住ベルベル人の中に、ムワッヒド朝の勢力が台頭して1147年にマラケシュを占領し、ムラービト朝を滅ぼした。
世界遺産 マラケシュ
マラケシュは北アフリカのマグリブ地方の東西を結ぶ中心都市として栄え、北のイベリア半島、南のサハラ以南のアフリカ内陸地方との南北を結ぶ交易路の要衝として繁栄した。現在もモロッコ第1の都市としてだけでなく、旧市街はイスラーム都市としての景観を残しており、歴史的・文化的な価値の高い世界的な観光拠点となっている。1985年には、同じモロッコのフェスに次いで、世界遺産「マラケシ旧市街」として登録された。 → ユネスコ 世界遺産センター「マラケシ旧市街」Episode マラケシュの公共トイレ ウォシュレットの原型
マラケシュはイスラーム圏の都市の特徴をよく備えている。都市の軸となっているのがスークがあり、中庭のあるモスクの前面に広場があって、公共の泉が設けられている。そこでは馬やロバも水が飲める。これらは全部、ワクフというイスラーム社会独特の制度に基づいてつくられており、私有財産が社会的な資本として使われている。マラケシュの泉にはエル・ムサインの泉という寄進者の名前がついており、1570年に作られた。(引用)陣内 そのすぐ裏に、大きな中庭を囲んだ四角い形の施設がある。公衆トイレなんです。だいたい、モスクの隣にくっついているんですね。彼ら、清潔好きだし、ヨーロッパを旅行してまわっていると、トイレに行きたくなったときに困りますよね。なかなか探せなくて。ところが、イスラムの都市の場合はどこでもトイレには困らない。モスクを探せ。そういう都市の基盤整備というのはものすごく進んでいたんじゃないでしょうか。・・・公衆トイレもおもしろいんですよ。やっぱり、公衆トイレにも中庭がある。
福井 水場では手を洗うんですか。
陣内 いや、ここで水を自分でプラスチックの容器に汲んで、持っていって、終わったら清めるわけです。ウォシュレットの原型なわけで、紙を使わない。ここではトイレに扉がないんですよ。カメラを構えていると、中の人と目が合っちゃってバツが悪い(笑)。まあ、非常におおらかなトイレなんです。中央の水場は、水をきれいにしておくために屋根がついています。<陣内秀信・福井憲彦『地中海都市周遊』2000 カラー版中公新書 p.101-102>