フワーリズミー
9世紀に活躍したイスラーム世界の数学者。代数学を創始し、現代の数学にも影響を及ぼしている。
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名前の謂れとなったホラズムとは、アラル海の東部の中央アジアの乾燥地帯で、現在のトルクメニスタンとウズベキスタンにまたがっている一帯で、9~12世紀にはイスラーム教国のホラズム国が繁栄していた。その後1219年にチンギス=ハンに征服され、次にはイル=ハン国・ティムール帝国などの支配を受けた後、1512年にウズベク人の3ハン国の一つ、ヒヴァ=ハン国がヒヴァに自立した。ヒヴァにはハンの居城イチャンカラハンが残されており、世界遺産に登録されている。その入口にはホラズム出身のフワーリズミーの大きな記念像が建っている。
アルゴリズムの語源
なお代数学を意味する英語のアルジェブラもアラビア起源の言葉で、アルは定冠詞、ジェブラは「復元する」という意味からきた。また数学である種の問題を解くための計算の手順、方法を意味するアルゴリズムという用語はこのアル=フワーリズミーに由来する。グローバルな遺産の一人
ベンガル出身の現代の経済学者で、ノーベル経済学賞の受賞者、アマルティア=センは、東京での講演で、フワーリズミーに触れ、グローバリゼーションを西洋文明の拡張と解釈する見方を批判している。(引用)グローバル文明は、世界遺産であり、特定ローカル文化の単なる寄せ集めではありません。たとえば現代欧米の数学者が難しい計算問題を解くにあたって、アルゴリズム(アラビア記数法)を利用しても、九世紀前半に活躍したアラビアの数学者アル=フワーリズミーの名を記念し讃える手助けをしているとは気づかないかもしれません(アルゴリズムはこのアル=フワーリズミーの名前に由来しているのです)。このように西洋の科学や数学を、非西洋ルーツが明白な一連の科学者や数学者と結びつけている知的関連性の鎖が存在しているのです。<アマルティア=セン/加藤幹雄訳『グローバリゼーションと人間の安全保障』2017 ちくま学芸文庫 p.25>アマルティア=センによれば、アル=フワーリズミーの正確な名前は、ムハンマド=イブン=ムーサー=アル=フワーリズミーで、アルジェブラ(代数学)の語源も彼の有名な著作である『ジャブル・ムカーバラ』(Al-Jabr ma-al-Muqabilah)に由来するという。フワーリズキーは、その著作を通じて西洋のルネサンス、次いで啓蒙時代、そして最終的には産業革命にさえ大きな影響を及ぼした非西洋社会――アラブ、インド、中国など――出身の多数の貢献者の一人にすぎない。<アマルティア=セン『同上書』p.25>