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プロノイア制

ビザンツ帝国の土地と結びつけた軍事制度。11世紀ごろに始まり、皇帝から貴族に土地(徴税権)を与え、代わりに軍事奉仕を義務づけた。

 ビザンツ帝国の土地制度で、プロニャともいう。10世紀に軍管区制が完成したが、11世紀にはいると屯田兵の没落、貴族の大土地所有が広がるようになり、ビザンツ帝国の軍事力と徴税力が低下してきた。そのような中でセルジューク朝の侵攻に悩んだビザンツ帝国コムネノス朝では、ビザンツ皇帝が功績のあった貴族に対し、軍事奉仕とひきかえに、恩恵として一定の土地の管理・監督(プロノイアは本来は「配慮」の意味)を任せ、徴税権を与える制度であるプロノイア制に切り替え、皇帝の軍事力を強めようとした。

西欧封建制との類似

 西欧の封建社会の主君が従者に「封土」を与える制度と似ているが、本来は世襲されない(譲渡も相続も出来ない)点では違いがある。それも11世紀末から13世紀のニケーア帝国の時期に発展して、世襲化されるようになり、封建的な土地所有関係となった。
 しかし、プロノイア制は、当時のビザンツ帝国の軍事制度の中でどの程度の比重を占めていたかは不明であり、あまり過大評価はしないほうがいい、という意見もある。<根津由喜夫『ビザンツの国家と社会』2008 世界史リブレット104 山川出版社 p.65>
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根津由喜夫
『ビザンツの国家と社会』
世界史リブレット104
2008 山川出版社