会館・公所
明清時代の都市で商人が出身地ごとに作った営業拠点。
明代の16世紀ごろから山西商人、新安(徽州)商人などの同郷の商人が北京・南京・開封・蘇州などの大都市に作った施設で、いわば出張所としての機能を果たし、また同郷人の宿泊、集会に利用されたのが、会館や公所と言われた。会館と公所の違いは建物の規模で、やや小さいのが公所といわれた。広東人は公司と呼んだ。同業団体も会館・公所を設け、相互扶助と経済的結束を強めていった。ヨーロッパ中世におけるギルドと同じような働きをしたと見ることもできる。また、中国国内だけではなく、海外に進出した南洋華僑(福建・広東出身者という意味)も各地に会館・公所を設け、活動の拠点とした。<増井経夫『大清帝国』講談社学術文庫 p.315~ および 斯波義信『華僑』岩波新書 p.67>
解答例 会館・公所の特色は山西商人や新安商人などの同郷の商人が設けた施設で、相互扶助と親睦などを目的として宿泊や集会に利用され、他郷や海外での活動の拠点としての役割を担った。
出題
東大 91年 第2問 D設問 国内諸都市や華僑居留地で、会館や公所とよばれる組織が発達した。この組織の特色と役割を、3行以内で述べよ。解答例 会館・公所の特色は山西商人や新安商人などの同郷の商人が設けた施設で、相互扶助と親睦などを目的として宿泊や集会に利用され、他郷や海外での活動の拠点としての役割を担った。