カンタベリ物語
15世紀末、イギリスのチョーサーが書いた、カンタベリ大聖堂に巡礼に来たさまざまな人びとが語った物語集。ロンドンの方言で書かれ、英文学・イギリス国民文学の始まりとなったとされる文学作品。
イギリスのプランタジネット朝に仕える貴族でもあったチョーサーが、1391年ごろに著作した。チョーサーが外交官としてイタリアに赴任していたと時、ボッカチォの『デカメロン』の影響を受け、当時のイギリス・ロンドンの口語でカンタベリ大聖堂にやってくる巡礼たちがそれぞれ物語るという体裁で書いた。本編は24編に及び、未完であったが国民的な支持を受けた。この書によって「英語」による文学が確立したとも評されている。
※カンタベリー物語はかなり大部で、読み通すのはなかなか困難。訳本も数種出されている。岩波文庫版は上中下の三冊で完訳であるが読み通すのは大変かも。手頃なのは名高い英文学者にして詩人である西脇順三郎の上下二冊にまとめたちくま文庫版がてごろか。他に角川文庫版もある。
カンタベリ物語
カンタベリーは大司教のいる教会で、有名な大聖堂が今も残っている。この大聖堂では1170年にカンタベリー大司教のトマス=ベケットがヘンリ2世に殺害されたところで、トマス=ベケットは聖人とされイギリス各地から巡礼を集めていた。この物語集も、著者がのどかな春4月、聖トマス(ベケット)の参詣に出かけた折に「陣羽織」という名の旅籠で29人の巡礼の団体と同宿となり、旅の連れずれに一人ずつ物語ろう、と言うことになって話が始まる。「ぷろろぐ」(西脇順三郎の訳)では、チョーサーは、騎士や僧侶・尼さんなど学識のあるものから粉屋、料理人、女房、貿易商、学生などさまざまな巡礼の人びとを観察して、その紹介をする。そして、それから1編ずつ、物語が語られていく。※カンタベリー物語はかなり大部で、読み通すのはなかなか困難。訳本も数種出されている。岩波文庫版は上中下の三冊で完訳であるが読み通すのは大変かも。手頃なのは名高い英文学者にして詩人である西脇順三郎の上下二冊にまとめたちくま文庫版がてごろか。他に角川文庫版もある。