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全琫準

ぜんほうじゅん。朝鮮の東学党の指導者で、1894年に甲午農民戦争を起こし、日清戦争を誘発した。

 1894年2月に勃発した甲午農民戦争の農民指導者。東学の地方幹部であった全琫準は、全羅道古阜郡の役人の不正に対する農民の抗議活動を指導した。この動きは農民の大反乱に発展した。全琫準の指揮する農民軍が全羅道を制圧したのを脅威と感じた朝鮮政府は清軍に出兵を要請したが、日本も直ちに出兵するにおよび、日清戦争に転化した。外国軍の進行を見た全琫準は政府との講和に踏み切っていたが、9月に再び蜂起し東学軍は公州で日本軍と激しく戦ったが、捕らえられ処刑された。

Episode 緑豆将軍

 全琫準は没落した両班で、父も役人の不正に抗議して打ち殺されていた。権力に対する憎しみを深くきざみながら、30代は村の知識人として子供たちに文字を教えて暮らしながら東学説くようになた。彼の住む全羅道古阜郡で役人の不正から農民の暴動が起きると、無口だが豪胆な全琫準は指導者の一人となった。清と日本が介入してきたのを見て、彼は政府に不法な税の取り立てを止めることなどを約束させ、いったん講和した。しかし、日清戦争が日本の一方的な勝利で進み、日本の朝鮮支配の恐れが出てくると、再び立ち上がり、日本軍に激しく抵抗した。追いつめられた全琫準を朝鮮政府は捕らえ、日本公使館に引き渡した。日本軍は全琫準の影響力を恐れ、協力を求めたが、彼はそれを拒否し、処刑されたという。背の低かった全琫準は「緑豆将軍」の名で親しまれ、朝鮮の童謡に今でも歌い継がれている。<岡百合子『中・高校生のための朝鮮・韓国の歴史』平凡社ライブラリー p.211~216>