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ラーマクリシュナ

19世紀インドの宗教家で、ヒンドゥー・イスラーム・キリスト教の統合を唱えた。

 ラーマクリシュナ(実名はゴダドル=チョットバッダエ)は1836年にベンガルの貧しいバラモンの家に生まれ、6,7歳の頃、畑で雷雲の中、白いツルの群れを見て意識を失うという神秘体験に遭遇。20歳でカルカッタ郊外のカーリー寺院にこもり、壮絶な修行と瞑想をかさね、ついに『ヴェーダーンタ』(ウパニシャッド)の梵我一如の境地に達した。さらにイスラーム教の修行者について祈り、ムハンマドと一体化する体験をし、その数年後にはキリストとも遭遇する。こうして宗教の違いを超えた普遍的な真理に達し、その真摯な祈りと信仰は聖者と崇められるようになった。
 その存在が広く世界に知られるようになったのは、その弟子のスヴァミー=ヴィヴェカーナーンダが1893年のシカゴの世界宗教会議で講演し、宗教対立を超える超える思想として紹介されてからである。ヴィヴェカーナーンダは1897年にラーマクリシュナ=ミッションを設立、活発な布教・教育・救済事業を行い、ヒンドゥー教改革運動の一つとして20世紀のインド民族運動(ナショナリズム)にも影響を与えた。西欧におけるラーマクリシュナとヴィヴェカーナーンダの紹介に尽くした人物として、ガンディーの紹介者、理解者でもあった文学者ロマン=ロランがいる。
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書籍案内

堀内みどり
『ラーマクリシュナ』
Century Books―人と思想
2011 清水書院