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ロマ/ジプシー

15世紀ごろからヨーロッパに現れた漂白芸能民。ロマが通称で、ジプシーはその蔑称。ナチスによってユダヤ人とともに激しく迫害された。

 15世紀の初頭にヨーロッパにロマの人々が姿を現した。はじめはエジプト人と思われていたため「ジプシー」と呼ばれていた。いつの頃からかインドを出た彼らは、この頃にヨーロッパにたどり着いたのである。彼らは1407年にはヒルデスハイムに姿を見せている。はじめは皇帝の特許状をもっているといわれ、各地で歓迎されたが、やがてユダヤ人迫害と前後して犯罪者として扱われ、近代にいたるまで迫害の犠牲者となった。<阿部勤也『物語ドイツの歴史』1998 中公新書 p.84>

ナチス=ドイツによる迫害

 1930~40年代のナチス=ドイツ時代には、ユダヤ人排斥とともに、ロマは劣等人種として扱われ、激しい迫害の対象となった。ユダヤ人とともに捕らえられ、多くが強制収容所に送られ、ガス室などで約50万人が殺害された。 → ホロコースト

現代ハンガリーでのロマ人

 ハンガリー科学アカデミーの推計では、人口約1千万人のうち、約60万人がロマ人とされている。彼らは教育や就職面で差別的な待遇を受けており、多くが貧困から抜けられないでいる。そのため犯罪の発生率が高く、ハンガリーでは民族主義者から攻撃を受ける事態が頻発している。とくに極右政党ヨッビクはロマ人攻撃一点に絞って国民の不安を煽り、支持を集めている。2008年1月以降、ロマ人を標的にした襲撃事件は少なくとも17件起き、5歳の子どもを含む6人が殺害され、50人以上が負傷した。<朝日新聞 2010年4月14日記事>
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書籍案内

阿部謹也
『物語ドイツの歴史』
1998 中公新書

関口義人
『ジプシーを訪ねて』
2011 岩波新書