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キルギス

内陸アジアの遊牧騎馬民族でトルコ化し、9世紀中ごろウイグルを滅ぼした。

 キルギス(クルグスとも表記)はモンゴル高原の北に広がる南シベリアの草原のエニセイ川流域で遊牧生活を送っていたトルコ系民族。匈奴を服属し、中国の漢代には結骨として出てくる。もともとは、コーカソイド族であったが、トルコ系突厥の勢力下に入り、その文化的影響と人種的混合が進み、トルコ化した。イェニセイ川上流に残る突厥文字のイェニセイ碑文はトルコ化したキルギスが残したもの。突厥に次いでウイグルの支配を受けたが、840年、ウイグルの分裂に乗じてこれを滅ぼした。

キルギス国家の再興

 その後、キルギス国家は13世紀に、モンゴルのチンギス=ハンに滅ぼされたが、キルギス人は西方に移住するに従ってイスラーム教を受け入れていった。次にティムール朝(帝国)の支配を受けたが、ティムール朝がウズベク人の台頭によって滅亡した16世紀の初めに、ウズベク人の東に再びキルギスが登場してくる。このころはバルハシ湖の南東岸セミレチェ地方を根拠にした弱小集団で、モグーリスタン=ハン国やカザフ人の支配を受けていたが、彼らが現在のキルギス人の先祖にあたると考えられている。コーカンド=ハン国に服属した後、1876年にロシアの支配を受けることになった。

ソ連邦を構成する共和国となる

 この間、民族国家を作ることはなかったが、ロシアの支配下で次第に民族意識を強め、ロシア革命の影響でソヴィエト政権が樹立された。1936年にソヴィエト社会主義共和国連邦の一つキルギス=ソヴィエト社会主義共和国となった。現在は、1991年にソ連邦が崩壊し、キルギス共和国として独立、中央アジア5ヵ国の一つとなっている。

Episode キルギスの英雄叙事詩『マナス王』

 キルギス民族には世界最長の民族叙事詩といわれるマナス王の物語がある。タラスにはマナス王の廟と言われる遺跡がある。草原の民キルギスを少年マナスが統一していく物語で、『オデッセイア』や『ラーマーヤナ』をしのぐ世界一の長さを持つ叙事詩である。現在のキルギス共和国でもマナス王は民族の英雄として顕彰されており、1995年には「マナス1000年祭」を祝い、首都ビシュケクにマナス公園を作った。『マナス王』は少年編と青年編が平凡社刊の東洋文庫で見ることが出来る。
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ノートの参照
第6章1節 ア.トルコ系民族の進出とソグド人