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無敵艦隊/アルマダ

16世紀、スペイン全盛期の強力な艦隊。1588年、イギリス艦隊に敗れた。

 スペインは、大航海時代の海洋航海技術・造船技術を発展させ、強大な海軍を育成し、フェリペ2世の時の1571年にレパントの海戦でオスマン帝国海軍を破った。しかし、そのころから、新教国のイギリスとオランダが海上貿易に進出、特にイギリスの私拿捕船によるスペイン商船に対する海賊行為が多くなってきた。

イギリス海軍とのアルマダ海戦

 1585年、イギリス女王エリザベス1世は議会におされてオランダ独立戦争を救援するための大陸派兵を決定した。それを受けてスペインのフェリペ2世はイギリス(イングランド)に上陸しロンドンを占領する計画を立てた。スペインにとって大西洋貿易を脅かしているイギリスの私拿捕船を抑える好機ととらえたのであろう。なお、フェリペ2世がイギリス討伐のもう一つの口実としたのが、当時ロンドンに幽閉されていた元のスコットランド女王でカトリック教徒であったメアリ=ステュアートを、エリザベス1世が処刑したことも挙げている。
 スペイン軍は、リスボンで編成された130隻の大艦隊「無敵艦隊」(アルマダ Invincible Almada)を北上させ、フランドルで兵力1万7千を補充し、総勢3万でイギリスに上陸する作戦であった。1588年7月、ドーヴァー海峡で苦戦したスペイン艦隊は、いったん北海に待避して態勢を整えるつもりが、折からの嵐にあって大損害を被り、やむなくイギリス北岸を回って帰還した。この海戦をアルマダ戦争(海戦)という。

Episode 無敵艦隊の呼称

 なお、スペインの艦隊を「無敵艦隊」というのは、のちにこの艦隊と戦うことになったイギリスで「半ば皮肉混じりに恐怖と賞讃の意味を込めて奉った尊称」である。スペインの文献では単に艦隊あるいは大艦隊、あるいは「いとも壮大なる艦隊」と形容詞がつく程度である。<岩根圀和『物語スペインの歴史』2002 中公新書 p.211>

映画

 『無敵艦隊』 1937年公開のイギリス映画で原題は Fire Over England 主演ローレンス=オリヴィエ、ヴィヴィアン=リー、フローラ=ロブソン。監督はウィリアム=ハワード。現代から見れば海戦シーンなど物足りないが、何と言ってもフローラ=ロブソンの演じるエリザベス女王の存在感がいい。若い侍女のヴィヴィアン=リーと恋人役のオリヴィエが宮中で愛を語らうのを物陰から覗って嫉妬するあたり、その後のケイト=ブランシェットの演じた女王よりも味があっていい。物語は、旧教国スペインが新教国イギリスを圧迫、イギリスが反撃するという図式が主となっており、主人公オリヴィエは新教徒である父を焚殺されて復讐にもえ、志願してスペインにスパイとして潜伏してその動向を探るという冒険活劇。海戦場面はほとんど出てこない。エリザベス女王が暗殺されそうになるシーンや、ジャガイモという新大陸からきた植物を食べたり、それなりに史実を反映させている。ローレンス=オリヴィエにとっては出世作となった作品で、颯爽としている。また恋人役で出演したヴィヴィアン=リーとほんとに恋に落ち、二人は実生活でも結婚する。
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ノートの参照
8章4節 エ.オランダの独立とイギリスの海外進出
書籍案内

岩根圀和
『物語スペインの歴史』
2002 中公新書
DVD案内

W.K.ハワード監督
『無敵艦隊』
ローレンス=オリヴィエ、ヴィヴィアン=リー主演