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アメリカ大統領

アメリカ合衆国憲法で定められた、国民が選出する国家元首で行政府の長。国民の直接選挙である一般選挙と、間接選挙である選挙人選挙の二段階選挙で選出される。任期は4年、現在では三選は憲法で禁止されている。

 President アメリカ合衆国の元首であり、行政府の長でもある。また軍の最高司令官であり外交の責任者でもある。アメリカ合衆国憲法では厳格な三権分立が定められているが、大統領は、議会に対しては拒否権を持ち、最高裁判所の裁判を任命するなど、強力な権限を持つ。その任期は1期が4年で現在は2期までとされている。大統領は裁判所の違憲審査、議会による弾劾裁判などによってその権力をチェックされる規定もあるが、議院内閣制での行政権に比べ、強力な権限を持つと言える。その大統領が執務するのがワシントンの通称ホワイトハウス(1800年から)。2009年1月就任したオバマ大統領は第44代となる。

大統領の任期

 再任については規定はなかったが、初代のワシントンが2期まで終わり、3期は不適当であるとして自ら大統領選に出馬しなかったことから、2期までと言う伝統ができた。その後、グラントとセオドア=ローズベルトが3選を試みたがいずれも実現しなかった。フランクリン=ローズベルトだけが第二次世界大戦という特殊事情と言うことで4選までいったが、1951年に憲法修正22条で明確に3選は禁止された。

大統領の選出

 4年ごとの閏年に行われ、11月の一般投票による一般選挙と12月の選挙人による選挙人選挙が行われる。このように間接的な選挙法だが、州ごとに一般投票で多数を獲得した政党がその州の全選挙人を獲得するユニットルール・システムの慣行があり、実質的には一般投票による直接選挙と言うことができる。なお、第3代のジェファソンまでは投票の過半数を得た中の最多票獲得者が大統領、次点が副大統領とされたため、正副大統領が違った政党に属してしまうことがあったので、1804年の憲法修正12条で選挙人は投票時に大統領と副大統領を指定して投票することとなった。
 アメリカ大統領選挙の最大の特徴である一般選挙と選挙人選挙の二段階になっていることである。この制度から、時にきわどい接戦になることもあり、2000年の共和党ブッシュ(子)と民主党ゴアが競った大統領選挙がその例であった。2016年選挙においても、民主党ヒラリー=クリントンが6580万票、共和党トランプが6297万票であったが、選挙人選挙でトランプが304票、ヒラリーが227票でトランプの当選となった。

大統領の継承

 なお大統領が任期途中で死亡あるいは退任した場合には副大統領が昇格して残りの任期を努めるのが慣行となっていたものを、1967年の憲法修正25条で正式な憲法条項として確定した。現在まで任期途中で死亡した大統領は、第9代ハリソン、12代テーラー、16代リンカン、20代ガーフィールド、25代マッキンリー、35代ケネディがおり、退任した大統領に37代ニクソンがいる。
継承順位 アメリカ大統領の継承順位は憲法修正25条と数次にわたって制定された大統領継承法によって細かに定められている。アメリカ大統領が死亡、辞任した場合は、副大統領に次ぐ継承順位は、下院議長、上院議長、上院臨時議長、国務長官、財務長官、国防長官、以下設置順に各省の長官となる。
 問題は病気や精神異常など職務遂行不能担った場合であるが、まず大統領自身が上院臨時議長(というのは上院議長は副大統領だから)と下院議長にその旨通告すれば、副大統領が「代行」することが認められている。本人が意思表示できない場合は、副大統領と各省長官の過半数などの通告で副大統領が代行する。大統領が自分は不能でないと通告した場合は議会に持ち込まれ、3分の2の多数で決定すれば大統領は職務に復帰できず、副大統領が代行する。<飯沼健真『アメリカ合衆国大統領』1968 講談社現代新書 p.24->

大統領の拒否権

 アメリカの大統領は国民から直接選ばれるので、イギリスや日本の議院内閣制での首相(議会から選出され、議会に責任を持つ)とは違い、議会の多数派と異なる「ねじれ」が生じ、議会と対立することことがよくある。その場合、大統領には議会通過法令に対する拒否権が認められている。大統領は法案への署名を拒否し、発議した議会に差し戻すことができる。議会はは3分の2以上で再議決することが出来るが、その可能性は少ないので、大統領拒否権は大きな権限となっている。

大統領弾劾裁判

 大統領の犯罪行為に対しては、下院が過半数で弾劾裁判を発議し、上院において弾劾裁判が行われ、3分の2以上の議決で有罪とされれば、罷免される。 → ウォーターゲート事件 
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ノートの参照
10章2節 ウ.合衆国憲法の制定
書籍案内

飯沼健真
『アメリカ合衆国大統領』
1968 講談社現代新書

明石和康
『大統領でたどるアメリカの歴史』
2012 岩波ジュニア新書