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デュナン

スイス出身で、国際赤十字運動を進めた人物。第1回ノーベル平和賞を受賞。

 1859年6月、イタリア統一戦争の時、北イタリアのソルフェリーノでサルデーニャ・フランス連合軍とオーストリア軍が衝突した。そのときジュネーヴ出身のアンリ=デュナンが従軍し、戦死者や負傷者が放置されている悲惨な現実を見、その体験を1862年に『ソルフェリーノの思い出』として書き、敵味方を越えた負傷兵の救援団体の必要を世に問うた。それがきっかけとなり、1864年にデュナンの呼び掛けで国際赤十字運動が始まった。スイス連邦政府が後援し、ヨーロッパ16カ国とアメリカ合衆国の署名を得た「ジュネーヴ協定」ができ、国際赤十字が誕生した。設立へのスイスの功績を認めて、赤十字の旗はスイス国旗の赤地に白十字を裏返したマークに定められた。ただし、イスラーム圏の諸国が赤十字に参加するようになると、十字に対する反感からこれらの国では赤新月旗を用いている。<森田安一『物語スイスの歴史』p.190>
 なお、デュナンが戦争での負傷者の救済を決意したのは、クリミア戦争でのナイティンゲールの活躍に刺激されたからだと言われている。また、デュナンは1901年、第1回ノーベル賞での平和賞の受賞者である。
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書籍案内

森田安一
『物語スイスの歴史』
2000 中公新書