印刷 | 通常画面に戻る |

済州島四・三事件

1948年、朝鮮の済州島で起こった、朝鮮分断に反対した民衆蜂起。

 1948年4月、朝鮮分断の進行する済州島(チェジュド)で起こった、アメリカ軍政下の南朝鮮単独選挙に反発した民衆蜂起(武装隊)が、アメリカ軍・警察・右翼などによって弾圧された事件。アメリカが軍政下の南朝鮮で単独選挙の強行を決定すると、南朝鮮労働党は北朝鮮との統一選挙を主張して反発、武装隊を組織して4月3日に済州島で蜂起した。アメリカ軍は警察と右翼を動員して鎮圧に当たり、8月の大韓民国成立後は韓国軍と武装隊の衝突となった。韓国軍の一部に反乱部隊も現れ、米軍と韓国軍は本格的な鎮圧に乗りだし、翌年6月頃に反乱は鎮定された。
 この事件は、朝鮮戦争の勃発とその後の韓国の反共路線の強化の中で、長い間、真相と実態が伏せられていたが、金大中大統領の下で2000年に「四・三特別法」が制定され、真相究明と犠牲者名誉回復がなされることとなった。調査の結果、犠牲者は約2万5千人から3万にと推定され、その深刻な事態が明らかになった。軍や右翼によって殺害されたのは武装隊だけではなく武器を持たない女性や子供もあったという。また武装隊によって殺害された住民もあった。現在も犠牲者の遺骨発掘が行われている。<文京洙『韓国現代史』2005 岩波新書 p.58-71 などによる>
 その後、2003年10月には現職大統領盧武鉉が自ら済州島を訪れ、犠牲者と島民に国として初めて公式の謝罪をした。

Episode 封印された「民族の悲劇」

 済州島は朝鮮半島の南に浮かぶ島。多数の火山が集まる「火山島」でもある。現在は観光地として知られ、韓流ドラマの「冬のソナタ」の舞台となったことで、多くの日本人観光客も訪れている。この風光明媚な島で、つい60年前に血なまぐさい虐殺事件が展開されたことはあまり知られていない。この島は「民族の悲劇」の島であり、しかもその悲劇は長い間封印されていたのだった。両親が済州島出身で大阪に生まれた在日朝鮮人の作家金石範(キムソッポム)は、この事件を題材に小説『火山島』を書いている。<朝日新聞 2008.6.22 記事などによる>
印 刷
印刷画面へ
ノートの参照
第16章1節 ウ.東アジア・東南アジアの解放と分断
書籍案内

文京洙
『韓国現代史』
2005 岩波新書