ハム語族
かつては古代エジプト文明を築いた人々の言語と北アフリカの言語をハム語族と言ったが、現在は使われていない。
かつては語族の分類上でセム=ハム語族という大枠があり、バビロニア語、アッシリア語、アラム語、ヘブライ語、アラビア語など西アジアの言語をセム語族(セム語系)としたのに対し、エジプト文明を生みだした古代エジプト民族とその周辺の北アフリカのベルベル人などの言語をハム語族としていた。セムとハムとは『旧約聖書』に出てくる「ノアの箱舟」のノアの子どものことで、セムが長男、ハムが末子となっており、旧約聖書の伝承によってそれぞれの子孫がセム語族、ハム語族に分かれたとされたのだった。つまり、言語学上の分類としては根拠がないので、現在ではこの分類は使われていない。
用語集から消えたハム語族 山川世界史用語集でもかつては「ハム語族=エジプト語など」とあったが、2008年版では「エジプト語系(ハム語系)」として古代エジプト語・コプト語をあげるようになり、2014年以降の用語集では「ハム語族」あるいはハム語系という用語は姿を消している。教科書や参考書にあげられている「世界の諸言語の系統分類表」も大分変わっているので、注意が必要だ。
アフロ=アジア語系
現在の言語学上の分類では北アフリカから西アジアにかけて分布する言語としてアフロ=アジア語族という概念が用いられており、それがおおよそセム語派、ベルベル語派、古代エジプト語派に分けられるとされている。セム語派という用語は残っているが、ハム語派は使われていない。それは、かつてハム語族にはいると言われていた古代エジプト語や北アフリカのベルベル語、クシュ語、チャド語などには語族という一体性はないと考えられるようになったためである。つまり、古代エジプト語=旧ハム語ではない。用語集から消えたハム語族 山川世界史用語集でもかつては「ハム語族=エジプト語など」とあったが、2008年版では「エジプト語系(ハム語系)」として古代エジプト語・コプト語をあげるようになり、2014年以降の用語集では「ハム語族」あるいはハム語系という用語は姿を消している。教科書や参考書にあげられている「世界の諸言語の系統分類表」も大分変わっているので、注意が必要だ。