エウクレイデス/ユークリッド
ヘレニズム期の科学を代表する数学者。アレクサンドリアのムセイオンで学び、幾何学を大成。そのユークリッド幾何学は後世に大きな影響を及ぼした。
ヘレニズム文化の中心地であったアレクサンドリアのムセイオンで研究し、それまでの幾何学を集大成して、『幾何学原論』を著した。いわゆる「ユークリッド幾何学」を完成させた人物。プトレマイオス朝エジプトのプトレマイオス1世に対し、「幾何学に王道なし」と答えたことでも有名。
ユークリッド幾何学の伝承
エウクレイデスの幾何学は、エジプトがイスラーム教徒に征服された後、バグダードの知恵の館でギリシア語からアラビア語に翻訳され、さらに13世紀にイスラームの学問が盛んだったイベリア半島のトレドの翻訳学校でアラビア語からラテン語に翻訳され、ヨーロッパに知られた。また、中国の明末にイタリア人宣教師マテオ=リッチがその前半部を漢訳し、1607年に徐光啓が完全な漢訳の『幾何原本』として刊行した。Episode 学問に王道なし
(引用)エウクレイデス(ユークリッド)の名は、幾何学とは切っても切れない関係にある。これは、彼が歴史を通じて最も有名な幾何学の本を著したからだ。『幾何学原本』は2000年にわたって唯一の幾何学の教科書であり、その基本的な規則はいまも学校で教えられている。エウクレイデスはまた、エジプト王プトレマイオス1世を叱ったことでも有名だ。幾何学を学ぶ簡単な道はないかと王に尋ねられて、「幾何学に王道はございません」と答えたとつたえられている。<スレンドラ・ヴィーマ/安原和見訳『ゆかいな理科年表』2008 ちくま学芸文庫 p.30>