マテオ=リッチ/利瑪竇
イタリア人のイエズス会宣教師。明末に北京でカトリックの布教にあたり、中国初の世界地図坤輿万国全図の作成など、西洋の科学技術を紹介した。
マテオ=リッチ(左)と徐光啓
『幾何原本』と『坤輿万国全図』
リッチは神宗の信任を得て北京に天主堂を建設することを認められ、数年の間で約200人の信者を得た。リッチはキリスト教の紹介書『天主実義』を翻訳、1602年には世界地図の『坤輿万国全図』などを中国語で著し、また1607年には明朝の政治家で学者である徐光啓と協力してエウクレイデス(ユークリッド)幾何学の紹介書『幾何原本』を刊行した。彼の活動がキリスト教の布教にとどまらず、実用的な科学技術を中国に伝えたことが重要である。1610年に亡くなり、神宗はリッチを北京城内に葬る事を認め、その墓地が北京で死亡した宣教師の墓地となる。 → 明の文化