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ナーガールジュナ/竜樹

クシャーナ朝時代の僧で大乗仏教思想を大成した人物。中国名を竜樹という。

 クシャーナ朝カニシカ王とほぼ同時代の2世紀中ごろの僧でバラモン出身とされる。中国では竜樹と表記する。大乗仏教の中心的思想である「中論」を著した。大乗仏教運動の中心地は西北インドであったが、ナーガールジュナはデカンの東南部であるアーンドラ地方で活動した。大乗仏教の経典は中国を通じて日本にももたらされたので、日本でもナーガールジュナは「八宗の祖」と言われている。
注意 消えたナーガールジュナ 2003年以降の山川出版社の『詳説世界史』の新版(新課程版)からナーガールジュナの記載が無くなった。旧版にあった人物が消えた事情はわからないが、他の教科書では依然として登場しているし、入試問題でも今も散見するので、学習上は省くわけにはいかないだろう。
 と思っていたら、最新版の2013年版では復活した(p.58)。やはり省くわけにはいかなかったのだろう。しかし、今度は「空の思想は、その後の仏教思想に大きな影響を与えた」と説明されている。以前の教科書は「大乗仏教の理論を確立した」とされており、他の教科書でもほぼ同様である。あえて新版で「空の思想」をあげたのは違和感を感じる。ナーガールジュナの「空の思想」とはどんな思想で、大乗仏教をどのように理論化したことになるのだろう。いきなり「空の思想」をあげるのは無理がある。高校生の理解としては「大乗仏教の理論を大成した」で十分で、せいぜい、その主著が「中論」であり、後には「八宗の祖」といわれたことを補足する程度で良いのではないだろうか。私も「空の思想」についてはこれから勉強します。(2013.5.11記)
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