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三国志

晋の陳寿が編纂した、三国時代の歴史書。正史の一つに加えられている。魏・蜀・呉の三国の歴史を扱うが魏を正統の王朝とする立場をとっている。魏志倭人伝が含まれていることも重要。・

 中国の三国時代の三国の史書、魏書・蜀書・呉書から成る紀伝体を形式をふむ正史であるが、正統な王朝は魏のみであるという立場から帝紀は魏書だけである。3世紀の邪馬台国女王卑弥呼の魏への遣使を記録する「魏志倭人伝」はその一部でである。
 編者の陳寿はもとは蜀に仕えていたが、蜀の滅亡後は、西晋(晋)に仕えた。その立場から、晋が魏から禅譲を受けたことを踏まえ、魏を正統な王朝として論述している。三国の内のいずれを正統とするかについては、後に異論も出て論争となる。しかし陳寿の歴史叙述は、多くの史料を取捨選択し、簡潔に史実を踏まえており、歴史書としてすぐれているとされている。後に、南朝の宋の裴松之が詳細な註を施し、内容を充分に補っている。
 なお、後に元代に民間に生まれた説話を明代に羅貫中がまとめた『三国志演義』とは、三国志と同じ時代を取り扱っているが、全く別な書物で通俗的な歴史物語ある。日本などで『三国志』と言う場合は、歴史物語としての『三国志演義』を指している。