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高麗青磁

朝鮮の高麗で発達した陶磁器。11世紀に宋の技法を取り入れ、13世紀の元支配下で高度に開花した。

高麗青磁
高麗青磁
 こうらいせいじ。高麗の代表的な工芸品である青磁は11世紀頃に宋の青磁の影響で製造が始まり、13世紀の元の支配下の高麗で発達した。青磁の青は朝鮮の空の青さを写したものだとも言われ、その独特な美しさは他に例を見ない。それは高麗の陶工が、原料の土、うわぐすり、焼き方を工夫して生み出したものである。前期のものは模様がほとんど無いが、後期になると象嵌で風物を描いたものが主流になる。<岡百合子『中・高校生のための朝鮮・韓国の歴史』平凡社ライブラリー p.112> → 陶磁器

参考 柳宗悦の朝鮮陶磁器論

 朝鮮の民芸に深い愛着をもっていた柳宗悦の文に次のような高麗青磁と李朝の陶磁器を比較した一文がある。
(引用)朝鮮ものは大体から言って二つに分れる。高麗のものと、李朝のものと。前者の美しさは早くも宋の時代に支那でも認めたものである。青磁の秘色はまたとない麗しさがある。技術の方を見る人々は、誰もこの時代の青磁を一番だという。それに細かな象嵌の手法や美しい鉄絵等が進んできて、その歴史を賑やかに飾った。高麗のものは繊細である。線の微妙さは讐えようもない。それほどに進んだものだと言える。だがこれにつれて弱みが加わってくる。遂には果しない情まで誘う。国の弱さや無常の教えがここまで導いたのだと思える。高麗の品は女性的である。
 だがこれに比べると李朝のものは幅(ひろ)さかおる。時代が変ると共に教えも仏教から儒教にうつる。曲線が直線へと転じてくる。際立った対立である。種類の変化は李朝に来るとずっと多い。ある人はこの時期で、焼物が下落したかの様にいう。繊細な技巧だけを見る人々にこの見方が多い。だが美しさの方から見ればそう簡単には言えない。<柳宗悦『朝鮮とその芸術』所収「朝鮮陶磁号序」1932>