印刷 | 通常画面に戻る |

ダウ船

ムスリム商人(アラビア商人)が利用した大型木造帆船。大きな三角帆が特徴。

ダウ船
ダウ船
 紅海、アラビア海、インド洋で活躍したムスリム商人(アラビア商人)が使っていた大型の木造帆船。大きな三角帆が特徴でインド洋の季節風を利用し、広範囲な海上活動を行った。特に、10~11世紀が最盛期で、ダウ交易圏とも言うべきインド洋商業圏が形成されていた。
 同じころ、中国の宋の時代になると、ジャンク船を操る中国商人も東南アジア海域からインド洋に進出し、競合するようになった。さらに15世紀末、ポルトガルヴァスコ=ダ=ガマインド航路の開拓に成功し、ヨーロッパの帆船がインド洋に進出すると、それとの競合が激しくなった。

Episode 逆風で進む三角帆

(引用)ムスリム商人が航海に利用したダウ船は、船板に板をあけてヤシの繊維からなる紐で縫い合わせ繋いだものを木釘で船体に打ちつけ、水が漏れないように瀝青や鯨油を塗った縫合船で、逆風でも先に進むことのできる三角帆を備えていた。彼らは、季節風や星に関する豊富な知識を生かし、アフリカ東岸、紅海、ペルシア湾、インド、東南アジア、中国沿岸を結ぶネットワークを確固なものに変えた。ムスリム商船の目的港となった広州(カンフー)には、ムスリム商人など外国商人が居住する居留地(蕃坊)やモスクが作られた。
・・・ムスリム商人が交易に用いた最大のダウ船は300トン程度で、積載可能な積み荷の量は180トン程度に及んだとされる。つまり、一隻のダウ船は、600頭のラクダが荷物を運んで砂漠を旅するのに匹敵する商品を輸送できたのである。<宮崎正勝『鄭和の南海大遠征』中公新書 1997 p.2~3>
印 刷
印刷画面へ
書籍案内

宮崎正勝
『鄭和の南海大遠征』
1997 中公新書