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世宗

朝鮮王朝の第4代国王。15世紀前半の最も安定した統治を行い、訓民正音の制定などを行った。

10000won
韓国 10000ウォン紙幣の世宗
 世宗(在位1418年~1450年)、朝鮮語ではセジョン。朝鮮王朝(李朝)第4代の国王(在位1418~1450)。朝鮮王朝第一の名君と言われる。初代李成桂が開き、三代の太宗が作り上げた朝鮮王朝の基盤の上に、土地制度の改革、農業技術の向上に努め、朝鮮の儒教を保護し、また学問を奨励した。先代の太宗の時、高麗以来の伝統のある金属活字を鋳造するための鋳字所を設けられ、世宗の統治時代には多くの書物が刊行された。世宗の最も有名な事績が、1446年に公布した朝鮮独自の文字である訓民正音(ハングル)の創出である。
 世宗は現在も国民的な人気が高く、韓国では1万ウォン札にその肖像が用いられている。世宗の統治した15世紀前半は、朝鮮王朝が最も安定し、文化が繁栄した時期と言うことができる。

訓民正音の制定

 世宗は第三代太宗の三男。王位に就くはずではなかったが、すぐれている世宗に王位を継がせたいと考えている父親の気持ちを察した兄二人が王位を譲ったという。若くして即位すると、全国から優れた人材を集めて集賢殿という役所を作り、さまざまな開発にあたらせた。その中から、天文観測器、日時計、水時計がつくられ、気象台も設けられた。雨量を図る測雨器も発明された。また金属活字も改良され、農書などの実用書とともに、儒学の本も出版された。
 世宗は儒教経典をひろめ、民衆を儒教(朱子学)で教化しようとして、漢字の音だけで朝鮮語をあらわす吏読(イドウ)という方法で印刷をしていたが、庶民は漢字が読めなかった。そこで世宗は、朝鮮語をそのまま文字に表すことができるよう、新たな文字を作るように集賢殿の学者に命じた。この世宗自身のアイディアから始まったのがハングルの創造であった。<この項、岡百合子『中・高校生のための朝鮮・韓国の歴史』平凡社ライブラリー p.140>
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書籍案内

岸本美緒・宮嶋博史
『明清と李朝の時代』
世界の歴史 22
1998年 中公文庫