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ティマール

オスマン帝国でのトルコ人騎兵シパーヒーに与えられる知行地での徴税権のこと。

 オスマン帝国のトルコ系騎士に与えられた知行地をティマールという。ティマールは所有権ではなく、徴税権をその内容としている。ティマールを受ける騎士をシパーヒーという。ティマール制は、ビザンツのプロノイア制、イスラーム世界のイクター制と同じく、軍事奉仕への代償として徴税権を与えるものであるが、特徴はすべてスルタンと騎士の直接的な一対一の関係であり、封建的な主従関係ではないことである。シパーヒーつまりティマールを与えられた騎士は、戦争の際は県または州単位で指揮官の下に組織される。ティマール制は騎士を維持する制度であったので、戦争が火砲中心になった17世紀以降は形骸化していく。<林佳世子『オスマン帝国の時代』世界史リブレット19 山川出版社 p.36>
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