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シティ

普通名詞としては都市を意味するが、一般にロンドンの中心の金融街をシティという。

 一般に、the City というと、ロンドンの旧市街の中心に位置するシティ・オブ・ロンドンのことで、市長(Lord Mayor)および市会の管轄する地区を言う。イギリスの金融と商業の中心地として現在も続いている。そのシティにあるのが、イングランド銀行である。また、シティとはイギリスでは本来は司教座のある都市、と言う意味で、ロンドン主教座教会がセント・ポール大聖堂である。 → 市民社会/ブルジョワ イギリスの産業革命 ジェントルマン資本主義

Episode 女王も勝手に入れないシティ

 1981年、イギリス皇太子チャールズとダイアナの結婚式がセント・ポール大聖堂で行われた。セント・ポール大聖堂は、イギリス国教会のロンドン主教座教会である。ウェストミンスターのバッキンガム宮殿から馬車で行進してきたエリザベス女王はセント・ポール西正面に到着、女王を迎えるのはロンドン市長(the Lord Mayor)である。王族が着席したあとに花婿が、最後に花嫁が入城して式が始まった。
 この結婚式で市長は、シティの真ん中、セント・ポール大聖堂の正面で女王を出迎え、入市を承認し、市内(教会の堂内)での移動には随行し、また市からの退出を見送った。出迎え、随行し、見送るということは、市内にいる間は女王を終始監視し、その勝手な挙動を許さないということである。つまり、全国の自治特権都市のうちもっとも由緒あるロンドン・シティ(the City of London)に国王は無断で入市してはならず、その市門で市長の承認を受けることになっている。今回は市の入口テンプル・バーではなく、セントポール教会正門で出迎えるという形をとった。<近藤和彦『文明の表象 英国』1998 山川出版社 p.169>
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