ベルリオーズ
19世紀フランス・ロマン派の作曲家。代表作は七月革命中に作曲した『幻想交響曲』。
クールベ『ベルリオーズ』1850
七月革命に遭遇
1830年、パリが七月革命で騒然とする中、27才の青年ベルリオーズは『ある芸術家の生涯の出来事、5部の幻想的交響曲』を完成させた。テーマは恋に悩むアヘン中毒者の幻想というもので、12月に初演されると七月革命後のブルジョワジー意識とロマン主義の高揚という時代にぴったりあてはまり、大成功を収めた。この『幻想交響曲』の大成功でベルリオーズは若くして名声を獲得し、作曲家、指揮者として脚光を浴びたが、その私生活では恋人に裏切られて自殺を図るなど、感情の起伏の激しさが常につきまとい、必ずしも幸福だったわけではなさそうだ。その後、作曲家としては他に、交響曲『イタリアのハロルド』、オペラ『ベンヴェヌート・チェリーニ』、劇的交響詩『ロミオとジュリエット』、序曲『ローマの謝肉祭』、『テ・デウム』など多数があり、当時としては斬新な手法を取り上げていた。
代表作は『幻想交響曲』。第1楽章「夢、情熱」、第2楽章「舞踏会」、第3楽章「野の風景」、第4楽章「断頭台への行進」、第5章「魔女の夜宴の夢」。特に第4楽章は、夢の中で愛人を殺し、死刑を宣告されて断頭台に向かうという情景を音楽にしており、遠く響く鐘の音が印象的である。演奏は何と言ってもアンドレ・クリュイタンス指揮だろう。