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ベルエポック

ヨーロッパの19世紀末から20世紀初頭は、工業化を背景にした文明の進歩を謳歌する「すばらしい時代」ととらえられた。

 ベルエポックとはフランス語。特に、ヨーロッパでの19世紀末から20世紀初頭、第一次世界大戦が始まるまでの発達した資本主義のもとで大衆文化が花咲き、反映した時代を、大戦後に「古き良き時代」として懐かしんで言った言葉である。その始期は1870年代の半ばから続いた不況が終わった1890年代の後半からであろう。
 この間の社会的変化としては、1896年の近代オリンピック競技会の開催(世界的に注目されるようになったのは1912年大会からといわれる)、学校教育の普及、女性の社会的進出、などがあげられる。芸術では、絵画での19世紀末から20世紀初めにかけて、印象派(ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌなど)からフォーヴィズム(ヴラマンク、マティスなど)とキュビズム(ピカソ、ブラックなど)が登場した時代であった。文学では19世紀の自然主義に代わって、象徴主義といわれるマラルメやメーテルリンク、イエーツ、リルケなどが登場、絵画のモローやクリムト、音楽のドビュッシー(印象派の音楽とも言われる)にも影響を与えた。ウィーンではリヒャルト=シュトラウス、マーラーなどが活躍した。
 この時代の文化運動として顕著なものがアール=ヌーボー(「新芸術」の意味。1897年のブリュッセル万博で、ベルギーの建築家・工芸家であるヴァン=デ=ヴェルデが提唱した)で、建築のガウディ、工芸のエミール=ガレなどが有名である。<福井憲彦『世紀末とベルエポックの文化』1999 世界史リブレット 山川出版社> 
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福井憲彦
『世紀末とベルエポックの文化』世界史リブレット
1999 山川出版社