石油輸出国機構/OPEC
1960年に結成された、世界の産油国の協力機構。1973年の第1次石油危機ではアラブ石油輸出国機構(OAPEC)と連動して原油値上げを行った。
略称がOPEC(オペック)。Organization of Petroleum Exporting Countries 1960年9月、バグダードで結成された、イラク、イラン、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ(中米の産油国)の産油5ヵ国による原油価格に関する国際カルテル組織。同年、国際石油資本であるいわゆるメジャーズが原油の公示価格を一方的に引き下げたことに反発した産油国は、サウジアラビア王国のタリキ石油資源局長を中心に結束し、産油国の利益を守るために輸出国機構を結成した。イランとベネズエラは非アラブ諸国である。後にカタール・インドネシア・リビア・アラブ首長国連邦・アルジェリア・ナイジェリアが加盟して11ヵ国となた。本部はウィーンにある。1968年にはこの中から、アラブ諸国のみでアラブ石油輸出国機構(OAPEC)が結成された。
1973年の第4次中東戦争の際には、OAPEC が原油輸出禁止措置を発動したのと連動して原油価格の大幅引き上げを決定するという石油戦略をとり、欧米・日本に第1次石油危機(オイル=ショック)をもたらした。またそれ以降は、原油価格の決定権は、かつての国際石油資本(メジャーズ)の手から離れ、完全にOPECが掌握することとなった。
1973年の第4次中東戦争の際には、
現在(2020年)の加盟国
イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ、リビア、アラブ首長国連邦、アルジェリア、ナイジェリア、アンゴラ、エクアドル、ガボン、赤道ギニア・コンゴ共和国の14ヵ国。※OPECに加盟していない産油国
ロシア、ノルウェー、メキシコ、カザフスタン、カナダ、オマーン、イエメン、マレーシア、スーダン、ブルネイ、エジプト、イギリス、インド、カタール、インドネシア、アメリカなど(アメリカはかつては原油を輸入していたが、シェールオイル開発によって輸出国に転じた。インドは産油国であるが、原油を輸入している)。OPECの動揺
1983年2月、世界的不況が拡がる中、先進工業国の原油輸入量が低減した。それに対してナイジェリアが1バレるにつき7ドル値下げを単独で強行し、対抗してサウジアラビアも値下げを表明した。OPEC全体としても対応に苦慮し、3月に原油価格を1バレル29ドルとする値下げに踏みきり、原油価格の維持、上昇を図ってきた路線を初めて放棄した。これは「石油逆ショック」ともいわれ、OPECの結束を弛めることとなった。また、加盟国間の対立、OPEC非加盟の産油国の増産などもあって、現在はその影響力は小さくなっている。