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国際石油資本/メジャーズ

中東の石油資源を独占していた欧米系の石油会社のこと。1970年代にアラブ諸国の石油国有化政策によってその支配は弱まった。

 世界の石油資源の開発、採掘、精製、販売などを一手に握る欧米先進国の国際的な大資本で、メジャーズとか、セブン・シスターズ(七人の魔女、の意味)と言われる、エクソン、モービル、テキサコ、ガルフ、ソーカル(スタンダードオイル=オヴ=カリフォルニア)、ブリティッシュ=ペトロリアム、ロイヤル=ダッチ=シェルの7大資本のこと。
 世界の石油資源は、戦前にはアメリカのスタンダード石油ニュージャージー(後のエクソン)、イギリス・オランダ系のロイヤル=ダッチ=シェル、イギリス系のアングロ=ペルシアン(後のアングロ=イラニアン→ブリティシュ=ペトロリアム)のビッグ=スリーが支配していた。第二次世界大戦後にスタンダード系のモービル、ソーカル、独立系のテキサス、ガルフが台頭し、7社体制ができあがっていた。

セブン=シスターズの終焉

 これらは1970年代まで世界の石油資源を独占していたが、1951年のイランのモサデグ政権による石油国有化政策に始まる中東の産油国の反発が強まり、1960年の石油輸出国機構(OPEC)の結成、1973年のアラブ石油輸出国機構(OAPEC)の石油戦略による第1次石油危機(オイルショック)、1979年のイラン革命の際の第2次石油危機などを通じて原油価格決定権を産油国側に奪われ、かつてのような支配力は失っている。7大資本も現在はエクソン=モービル、シェブロン=テキサコ(現在のシェブロン)、ロイヤル=ダッチ=シェル、ブリティッシュ=ペトロリアム=アモコ(現在のBP)の4社に再編成されている。<瀬木耿太郎『石油を支配する者』 岩波新書 1988 による>

OPECによる原油価格操作

(引用)1973年12月22日、石油輸出国機構(OPEC)は、翌年1月からの原油の公示価格を130%引き上げ、バレルあたり11ドル65セントとすることを決めた。この決定をするに当たり、メジャーズには何の相談もなかった。そしてこれ以降、メジャーズは、石油価格について二度と相談されることはなかった。セブン・シスターズの時代は、かくて石油の禁輸というさなか、あっけなく終わってしまったのである。
 一度上がった価格は、二度と下がらなかった。OPECのメジャーズに対する優位は、もはや決定的になっていた。今やセブン・シスターズに代わって、OPECが原油価格の管理者となった。・・・自由主義経済の基盤を支えてきた石油資源が、あっという間に、OPECに支配されるようになったのである。<瀬木耿太郎『石油を支配する者』1988 岩波新書 p.112>