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人類の拡散

現生人類はアフリカを単一の起源の地として、現在までに地球上に広く拡散していったと考えられている。

人類はすべて同一種

 地球上のあらゆるところに及んでいる人類は、すべて同一の種、つまりホモ=サピエンスである。現在はその起源は約20万年前のアフリカであると考えられている(アフリカ単一起源説参照)。アフリカに生まれたわれわれ現生人類の共通祖先の中の一集団が、およそ10万年前に西アジアに入り、ユーラシア大陸全域に広がっていった。その一部で5万年~4万年頃に西アジアからヨーロッパにいたのがクロマニヨン人である。人類の足跡はシベリアのツンドラ地帯に及び、一方では当時地続きであったインドシナ半島からインドネシアなどの島々に至るスンダランドにひろがった。5万年頃にはオセアニアに広がっていった。また地続きだったベーリング海峡を徒歩で渡り、1万4千年頃には新大陸に渡り、北アメリカ大陸の大氷床の縁辺を南下しておよそ1000年ほどで南アメリカ大陸南端に至った。さらに3000年前には南太平洋のポリネシアなどの島々まで拡散した。このような「大拡散」はホモ=サピエンスの高度な環境適応能力、文化継承と発明能力の表れである。<海部陽介『人類がたどってきた道』2005 NHKブックス第7,9,11章>

新大陸への人類拡散:

 ホモ=サピエンス(いわゆる新人=現生人類)はアフリカからおよそ10万年前からユーラシア大陸に「拡散」したが、さらにその一部は新大陸(北アメリカ・南アメリカの両大陸)におよそ1万4千年から1万3千年前ごろに到達した、と考えられている。この時期は最終氷期(現在の間氷期が終われば地球は再び氷期にはいることになっているので最終ではないが)にあたっており、特に2万1000年ごろには最寒冷期とよばれるピークで、夏の気温が10~15度下がったと考えられ、大量の水が氷として陸上に閉じこめられたため海水面が現在よりも100mも下がった。そのためユーラシア大陸と北米大陸(現在のベーリング海峡)は陸続きであった。イギリスもヨーロッパ大陸と、日本もアジア大陸と、東南アジアの島々もインドシナ半島と地続きであった。このような時期に地続きになったベーリング海峡をわたって、モンゴロイド系のホモ=サピエンスが13500年頃までに北アメリカ大陸に入り、ほぼ1000年間に南米南端のフエゴ島まで拡散し、各地の自然環境に適応して生活するようになった。彼らがインディオ(インディアン)と言われる人々の祖先である。<海部陽介『人類がたどってきた道』2005 NHKブックス 第9章>

オセアニアへの人類拡散

 オセアニアのオーストラリア大陸はニューギニアと地続きでサフルランドという広大な大陸だった。しかし、東南アジアの陸地(スンダランド)との間には水路が横たわっていたことが動植物相の違いから判っている(19世紀の中頃の博物学者ウォーレスが発見したのでウォーレス線と言われている)。しかしホモ=サピエンスはカヌーなどを使って約5万年ほど前にこの大陸に入ってきたとらしく、その子孫がアボリジニーであると考えられている。さらにホモ=サピエンスは現在太平洋の島々にも及んでいが、彼らメラネシア、ミクロネシアやポリネシアの人々はおよそ3000年前から1300年前までに東南アジアから大型カヌーで移り住んできたと考えられている。<海部陽介『人類がたどってきた道』2005 NHKブックス 第7章>
人類の拡散
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序章1節 ア.人類の進化
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海部陽介
『人類がたどってきた道』
2005 NHKブックス