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政体循環史観

ローマ共和政時代の歴史家ポリビオスの歴史論。

ローマ時代、前2世紀の歴史家ポリビオスがその著『歴史』のなかで展開した、一種の歴史理論。かれによれば、ギリシア・ローマの歴史には、その政治形態において、君主政→暴君政→貴族政→寡頭政→民主政→衆愚政→君主政、という循環がみられるという。このようにポリビオスは歴史のなかに一定の法則性を見いだしており、それを政体循環史観と言っている。
 ポリビオスは、ギリシア人で、マケドニアがローマに滅ぼされたときにローマに人質として連行され、小スキピオの知遇を得て第3回ポエニ戦争に従軍、ローマの隆盛を目の当たりにし、後に『歴史』を著した。ポリビオスは『歴史』の中で、政体循環史観の考えを述べるとともに、ローマの強さを君主政と貴族政と民主政が混合しているところにあるという混合政体論も展開した。

参考 ポリビオスの「実用史学」

 ポリュビオス(ポリビオス)の『歴史』は、ヘロドトスの『歴史』、トゥキディデスの『歴史(戦史)』とともにギリシア語で書かれた歴史書の最も重要な著作であるが、失われてしまった部分が多く、全40巻中、完全な形で現存するのは第1巻から第5巻までに過ぎない。しかしその執筆姿勢には歴史家として現代に通じるものを共感することが出来る。彼は自らが書こうとした歴史を“プラグマティケ・ヒストリア”と呼んでいる。ヒストリアの語源は「探求する」という動詞であり、プラグマティケは「実利に即した」という形容詞なので、「実用史学」と呼ばれるが、その本当の意味は彼自身の言葉によれば、
(引用)・・・多くの者がこの学問の名声の高さのために歴史を書こうとするのであるが、彼らはにはしばしばその資格が欠けている。彼らのなかには、まるで理論家の医者のように、図書館にこもって備忘録や文書を読みあさっただけで、歴史を書く資格があると自負する者もあるが、そのような者は門外漢には歴史研究に貢献しているように見えるかもしれないが、実際にはそれだけでは十分ではないのだ。確かに、過去の出来事は私たちが未来に対して注意深くなるのに役立つが、それは、あくまで個々の事件が正確に探求された場合に限られるのである。<周藤芳幸『物語古代ギリシア人の歴史』2004 光文社新書 p.270>
ということである。つまり、実用的歴史とは、理論医学ではない臨床医学に相当するような、現実を正確に探求する歴史こそが実用的であると言うことであろうか。
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第1章3節 ケ.ローマの生活と文化
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周藤芳幸『物語古代ギリシア人の歴史』
2004 光文社新書