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ジャイナ教

仏教と同じころ生まれたインドの新宗教。徹底した不殺生を説く。ジナ教ともいう。

 古代のインドでにおいて、ブッダが仏教を創始したのと同時代に、ヴァルダマーナが始めた宗教。ヴァルダマーナは、バラモン教の司祭たちの権威主義、形式主義を批判し、またカースト制度も否定した点では仏教に共通する。
 ジャイナ教では精神と物質の二元論にたち、宇宙は生命と非生命から成り、生命は上昇性があって一切知であり幸福であるが、非生命は下降性をもち業の力で周囲に付着して輪廻の原因をつくるという。人間が輪廻を解脱するには、正しい生活を送り、苦行によって業を消し去ることが必要であると説く。苦行を否定しないところは仏教と異なる。また生き物を殺すことは厳しく禁止され(不殺生戒)、信者は殺生を避けるために生産活動から離れ、商業に従事することが多かった。

現在のジャイナ教

 ジャイナ教は、農業や畜産業は不殺生の戒を破ることになるので、商業に従事するものが多かった。現在でもインドに約400万人の信者がいるが、商人と金融業者に多く、カルカッタのジャイナ教寺院は富裕な信者の寄進で豪壮な建物となっている。

Episode マスクをするジャイナ教の修行者

 ジャイナ教は徹底した不殺生を教義としているので、その修行者は、虫も殺すことが出来ず、気づかすに殺生をするおそれがあるのでマスクをし、歩くときは虫を踏みつぶさないように箒で前を払いながら進む。不殺生を徹底して守れば死んでしまうが、それも最も重要な修行とされた。またジャイナ教が商人や金融業者に多いのは、彼らは不殺生戒を守っているので農業や牧畜を嫌ったからである。それも行商などに出ると荷車で無視をひき殺してしまう恐れがあるので、出歩かなくてもよい小売商や金融業を営んだ。

不殺生の思想

 不殺生の教えは特にジャイナ教の始祖ヴァルダマーナ(マハーヴィーラ)が厳しく教えたことであるが、仏教やヒンドゥー教にも影響を与えた。4世紀ごろからバラモン教の儀式中心の形式主義を批判して、宗教としての体形を整えたヒンドゥー教においても、不殺生(アヒンサー)は重要な教えとして位置づけられ、特に『バガヴァッド=ギーター』での不殺生の教えは、後のガンディーサティヤーグラハの思想に強く影響を与えている。
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ノートの参照
第2章1節 エ.都市国家の成長と新しい宗教の展開