市民法
古代ローマの市民に適用される法律。ローマ法はローマ市民権を持つものだけに適用される市民法であったが、3世紀に帝国内のすべての自由人に拡大され、万民法となった。
ローマ市民権を持つ市民に適用される法律のこと。ローマで成文法が生まれたのは前451年の十二表法に始まり、市民生活に必要な民法の規定を中心に、共和政時代から帝政時代までのさまざまな法律が制定された。当初は都市国家としてのローマ市民(都市ローマの居住区に登録されるもの)にのみ適用されていたが、その領土が拡大され、帝国が形成されると、ローマ市民権を持つものと、そうでない帝国の領民とを含むこととなり、帝国の統一的支配が徹底できない問題が生じるようになった。
市民法から万民法へ
ローマ帝国の時代に入り、五賢帝の時代も過ぎた紀元後212年になって、カラカラ帝の時のアントニヌス勅令で帝国領内のすべての自由民(奴隷を含まない、という意味)にローマ法が適用されるようになった。これによって、法律はすべての人間(奴隷以外の)に適応されるという意味で万民法といわれるようになった。市民法であった十二表法以降の法律から万民法となったほうりつまでのローマの法律をローマ法と総称し、それは後のヨーロッパ中世を経て近代にいたるまでの法律に影響を及ぼしている。