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黒陶

中国の新石器時代の後期、竜山文化の黒色の研磨土器。ろくろを用いる、高度な還元焰焼成技術を発展させた。

黒陶

竜山文化の黒陶

 中国の新石器時代の後期に当たる竜山文化の指標となる土器。黒色でつやがあり、薄手でロクロで仕上げられている土器。
 中国の新石器時代の前半の仰韶文化の段階を代表する土器は彩陶(彩文土器)であったが、中期から後期にかけて大きな技術の変化が現れた。それは還元焰焼成が導入されたことで、それは窯炊きのさいに窯内に送る酸素の量を少なくして不完全燃焼を起こさせ、炭素の多い状態にすることで絵具や釉薬に含まれる酸化金属が還元されることによって、酸化第二鉄が青みを帯び、酸化コバルトを含む呉須は藍色を帯びることになる。<竹内康浩『中国王朝の起源を探る』世界史リブレット95 2010 山川出版社 p.26>

専業技術集団の発生

 これらの還元焰焼成で作る土器を総称して灰陶というが、その中で、粗雑な日常容器とされた灰陶とは異なり、器の表面に炭素が吸着されて黒色になった土器を黒陶という。黒陶はとくに、六呂の使用が顕著であり、表面を滑らかに磨くなど仕上げが入念であった。中でも極めて薄手の黒陶は卵殻土器とも言われて、竜山文化の典型であり、究極と言ってよい高い技量を誇っている。その背景には、この技術の見られる華北平原で、ろくろを使用した土器生産の専業集団が発生していたことが考えられる。
 また奇計も特徴的な三足土器等も現れ、次の青銅器時代の器形のもとになった。