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彩文土器/彩陶

新石器文化の中の、世界の各地の土器に見られる彩色を施す技法。メソポタミアやインドにも見られるが、特に中国では彩陶と言われ、高度に発達している。

新石器文化の特徴

 世界の各地の新石器文化に共通してみられる素焼きの土器で、酸化鉄による赤色や黒色、または白色で簡潔な模様や動物を描いている。メソポタミアエジプトインド(近代前)にも見られ、さらに中国文明の彩陶もそれにあたる。かつてはメソポタミア起源で、それが東方に伝わったとも考えられていたが、現在は中国起源説も有力である。インドではバローチスターン農耕遺跡(インダス川の西方の丘陵地帯に広がる前7000年頃から前2300年頃の新石器文化)に始まり、ハラッパー、モエンジョ=ダーロなどのインダス文明に継承される。

中国の彩文土器(彩陶)

彩文土器

アンダーソン土器(彩陶)

 中国でも彩文土器が作られており、彩陶ともいう。中国の新石器文化の前期に当たる仰韶文化の指標とされている。赤褐色の地に紅・黒・白などの顔料で幾何学的模様や動物模様を描く。仰韶遺跡や半坡遺跡などで出土している。仰韶を発掘したアンダーソンは、中国の彩文土器は西から伝えられたものと考えたが、西アジア・インドと中国を結ぶ中央アジア地域では見つかっておらず、西から伝播したことは否定され、現在では中国で発生したとする説の方が有力である。 → アンダーソンについては黄土地帯を参照。
 新石器文化の後期になると、中国では山東省などに広がる竜山文化が現れ、土器製造技術ではろくろを使用し、より高温で焼きあげる灰陶黒陶が登場するようになる。

Episode 「開運!なんでも鑑定団」に出た彩文土器

 中国の黄河上流で、スエーデンの考古学者アンダーソンによって1920年代に発掘された彩文土器(彩陶)は、美術品、骨董品としても市場に出ている。古美術界では発掘者の名前から「アンダーソン壺」とか「アンダーソン土器」で通っているという。ネットオークションでもいくつも出品されており、2018年8月14日放送の「開運!なんでも鑑定団」でも鑑定依頼があり、本人希望50万円に35万の鑑定士の判定があった。鑑定士の話では、発掘当初は珍しかったので高値だったが、最近は発掘品が出回るようになって値が下がっているという。
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