天可汗
中央アジアの遊牧民から唐の太宗に贈られた称号。
630年、唐の太宗(李世民)は軍隊を派遣してモンゴル高原の東突厥を攻撃した。唐軍は突厥と同じトルコ系の鉄勒と結び、東突厥を服属させた。このとき、鉄勒諸族は、太宗に対して、天可汗(テングリカガンの漢訳)という称号を贈った。この称号は遊牧民の最高君主、「世界皇帝」を意味するもので、これによって唐の太宗はまさに「世界帝国」の統治者として認知されたことになる。
出題
2004年 早大教育 第3問(部分改) 唐は、第2代太宗の治世に( a )を滅ぼし、太宗は西・北方諸族の首長から( b )の称号を受け、大帝国へと発展した。空欄に入る適切な語を漢字で記入しなさい。解答・解説
解答 (a) 東突厥 (b) 天可汗
解説 東突厥は太宗の時に滅ぼされた、という点には問題がある。東突厥は630年に唐軍に敗れ、唐は都護府(単于都護府)を置いて彼らを統治したが、まもなく勢力を盛り返し、682年に唐に対する反乱を起こして復興した。この東突厥を第二突厥帝国とも言う。従って、太宗の時に東突厥が滅んだ、とは言えない。