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理気二元論

儒教の中の宋学(朱子学)の理念。

 宋代に興った朱子学(宋学)の中心概念で、宇宙万物の形成を、理(宇宙の根本原理)と気(物質を形成する原理)の一致として説明する存在論。古来の中国の思想を発展させ、北宋の程頤、張横渠が組み立て、南宋朱熹(朱子)が完成させた、宋学の存在論にあたる考え方となった。
 朱子の理気二元論は、16世紀の朝鮮王朝(李朝)の時代に、李退渓李栗谷という二人の儒者によってさらに展開されることになった。前者は「理」を根源的なものと見なして主理説を唱え、後者は「気」を重視する主気説を唱え、互いに論争しながら理論を深めていった。特に前者の思想は江戸時代の日本にも受けいれられていった。しかし次第に議論は観念的、末梢的になって行き、19世紀のヨーロッパの合理思想が浸透してくると、その影響力を急速に失っていった。
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