印刷 | 通常画面に戻る |

ダライ=ラマ/活仏

チベット仏教の最高指導者で活仏とされる。16世紀に始まり、現在まで「転生」によって継承されている。

 ダライ=ラマとはチベットに成立したチベット仏教の最高の指導者で、ダライはモンゴル語で「広大な海」、ラマは「師」を意味する。1578年、モンゴルのアルタンが黄帽派の高僧ソナム=ギャムツォを青海地方に招いて奉じたのが最初で、チベット仏教の最高権威者である活仏(化身僧ともいう)をダライ=ラマといい、代々転生されると信じられている。現在もダライ=ラマは14代まで続いており、その影響力はチベット、モンゴル、満州地方に及んでいる。その居城は、チベットの中心都市ラサのポタラ宮殿である。

活仏

 チベット仏教(黄帽派)の最高指導者ダライ=ラマの地位は、転生ラマ(活仏、化身僧)によって継承される。チベット仏教の高僧は妻帯が禁止されているので、ダライ=ラマが生前に預言した方角でその死後1年間に生まれた幼児を転生者として選んだ。現在のダライ=ラマ14世まで、そのような方法で継承されている。

現在のダライ=ラマ14世

 現在のダライ=ラマ14世は、1939年に13世の転生者(活仏、化身僧)として選ばれたが、中国のチベット支配に反発、1959年のチベット反乱に際してインドに亡命した。現在もチベット仏教の布教と、チベット難民の救済を世界に訴える活動をしている。1989年のノーベル平和賞を受賞した。それに対して中国は厳しく対処しており、チベット問題は未解決のまま続いている。

NewS ダライ=ラマ制度存続の決議

 2019年10月5日、世界24ヵ国・地域の亡命チベット人の代表ら約300人が参加した特別会議がインド北部ダラムサラで開催され、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世(84)の後継をめぐり、「チベット人が世界に存在する限り、ダライ・ラマ制度は存続する」などとする決議を採択した。この会議はチベット亡命政府と議会が招集しており、「後継者を選ぶ」としている中国政府を牽制した形だ。亡命政府によると、会議は2008年、12年に続いて3回目。3日から3日間開催された。実際の選出については、亡命政府のセンゲ首相は「ダライ・ラマこそが決める」と表明している。<朝日新聞 2019年10月6日朝刊による>
印 刷
印刷画面へ