印刷 | 通常画面に戻る |

ホルバイン

16世紀前半、ルネサンス期のドイツの画家。イギリスに渡り肖像画を残す。

 16世紀前半のドイツの画家。ルネサンス絵画の中でも、北方ルネサンスといわれるアルプス山脈以北の美術を代表する作家の一人である。1517年のルターのローマ教会批判に始まる宗教改革は、美術活動にも深刻な影響を及ぼした。プロテスタントは宗教美術に否定的であったため、宗教画家として出発したハンス=ホルバインは次第に肖像画に主力を注ぐようになる。故郷アウクスブルクからバーゼルに移り、イタリアにも旅行した後、イギリスに渡り、国王ヘンリ8世の宮廷画家として仕えることになった。ヘンリ8世、トマス=モアエラスムスなどの多くの肖像画を残しており、イタリアと北方の伝統を総合した16世紀の国際的宮廷肖像画様式を代表している。<『カラー版西洋美術史』高階秀爾監修 美術出版社 p.97>

Episode ホルバインと「死の舞踏」

 ハンス=ホルバインは出身地であるバーゼルのドミニコ会修道院付属墓地回廊に描かれた「死の舞踏」を参考にして、「巧妙に構想され、優雅に描かれた死の像と物語」と題して、1538年にリヨンで木版画本を出版し、それはのちに、多くの死の舞踏版画本の手本となった。ホルバインはその後ロンドンに移住してイングランド国王ヘンリー8世の宮廷画家として名声を博すうちに、ロンドンを襲った黒死病によって命を落としている(1543年)。<小池寿子『「死の舞踏」への旅 踊る骸骨たちをたずねて』2010 中央公論新社 p.10>
印 刷
印刷画面へ